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「ランニングの代わりになる薬」の実現が近づいている

5/22(月) 18:10配信

WIRED.jp

米ソーク研究所のチームが、運動したときに活性化される遺伝子を、実際には運動することなく活性化させる方法を発見した。高齢者や病気の人など、走ることができない人にとって有益な薬の開発につながる可能性がある。

1時間のジョギングで寿命が7時間延びる

ランニングが健康にいいことは間違いない。しかし、高齢者や肥満の人、運動能力に制限のある人といった「走ることができない人」は長い間、有酸素運動の恩恵を得ることができなかった。少なくとも、これまでは。

カリフォルニア州にあるソーク研究所のチームは、通常ならランニングによって発現する遺伝プロセスを活性化させる方法を、運動しないマウスを用いた実験によって発見した。『Cell Metabolism』に発表された研究は、心臓や呼吸器に疾患を抱える人々、2型糖尿病の人々に、ランニングの恩恵に(薬理的に)たどり着く希望を与えてくれるだろう。

「わたしたちは、トレーニングによって持久力を向上させられることを知っています」と、研究の著者ロナルド・エヴァンスは言う。「わたしたちの問いは、『どうすれば薬をトレーニングの代わりにできるだろうか?』というものでした」

持久力が70%アップ

「持久力を発達させる」とは、筋肉がグルコースのような炭水化物を、続いて脂肪を長時間にわたって燃焼させることで、有酸素運動を持続できるようになることを意味する。

先行研究においてエヴァンスのチームは、すでに「PPAR-δ」と呼ばれる遺伝子を改変したマウスが長距離ランナーになることを証明していた。それらのマウスは体重が増えにくく、インスリン(血糖値を下げるホルモン)に対して高い反応を示した。すべて、通常なら走ることで得られる恩恵である。

その後チームは、「GW1516(GW)」と呼ばれる化合物がPPAR-δを活性化させて、体重の制御とインスリンに対する反応に影響を与えることを発見した。

新しい研究で研究チームは、マウスにより長い期間(8週間)、より多くのGWを処方した。その後、化合物を与えられたマウスと通常のマウスの持久力を比べるために、トレッドミル(歩行装置)でテストを受けさせた。その結果、通常のマウスが約160分持ちこたえたのに対し、薬の処置を受けたマウスは270分、つまり70パーセント長く走ることができた。

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最終更新:5/22(月) 18:10
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