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【U20】板倉滉が目指す世界基準のボランチ。高さと強さ兼ね備え、日本のキーマンに

5/22(月) 15:00配信

フットボールチャンネル

 21日、U-20W杯グループステージ初戦で南アフリカを下した日本。先制される苦しい展開だった。先発には意外なメンバーが名を連ねた。アジア予選ではそこまで出場機会が多くなかった板倉滉である。186センチと長身で、DF登録だった板倉はボランチに抜擢。世界と戦う手応えを掴んだようだ。(取材・文:舩木渉【水原】)

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●苦しんだ南ア戦。守りきれたことはプラスに

 U-20日本代表は21日、U-20W杯のグループステージ初戦で南アフリカと対戦し、2-1で辛くも勝利を収めた。

 序盤にエンジンがかかりきらない中、南アフリカに手痛い一発を食らった日本。その後はなんとか立て直し、後半に2ゴールを奪って逆転した。一時はどうなることかと肝を冷やしたが、重要な初戦を勝利という最高の形で終えている。

 南アフリカ戦の先発メンバーは、U-20W杯予選を兼ねていたAFC U-19選手権でも活躍していたメンバーが大半を占めることが戦前から予想されていた。その中で1人、新たに抜擢されたのは板倉滉だった。

 DF登録ながら、U-20日本代表ではボランチとしてトレーニングを積み、南アフリカ戦でもボランチとして先発出場。長身(186センチ)のため相手のカウンター対策という意味合いもあったが、中盤で十分に戦えることを示した。

「最初に失点してしまったのは苦しかったですけど、ただみんな慌てていなかったですし、そこで相手も少し引いてくれたので、自分たちのリズムを整えられた」

 板倉は隣のキャプテン坂井大将と声を掛け合いながら、失点で崩れかけたチームのバランスを取り戻そうと懸命に走った。日本ディフェンスの裏めがけて大きく蹴ってくる南アフリカに対し、中盤で壁になるだけでなく、DFたちが跳ね返したあとのボールを拾う役割も積極的に果たした。

 最後は「つったのか打撲なのか全然わからない」ほどに疲弊し、後半アディショナルタイムに原輝綺と交代したが、頼もしい戦いぶりで日本の中盤を支えていた。

「チーム全員そうだと思いますけど、後半あれだけきつい時間帯が続いた中で、ああやって最後守り切れたのは自分たちにとってもプラスになると思います。本当にこの試合を無駄にしてはいけない。一番いいのはずっと自分たちのペースを掴んでやることですけど、ああいう時間帯は絶対にあると思うので、それを今回再確認できたのは良かった」

●初戦で知った、世界で戦う厳しさと怖さ

 板倉を含め、U-20日本代表の選手たちはW杯のような大きな国際大会は初めての経験。南アフリカも後半開始早々に失点したことで再び前がかりになり、日本が押し込まれる時間帯もあった。序盤の固さも気になった。

 だが、板倉は南アフリカ戦で世界を知った。

「1戦目を戦って怖さがわかった。中盤で簡単なミスをしたら1本でやられますし、そういうところは本当に1プレーごとに気を使ってやらなければいけない。相手が自分たちより速くて強い分、それ以上に速く準備して、ポジション取りしなければいけないと気づいた。まだまだ遅い部分があるので、それは次の試合で意識していきたい」

 世界の舞台はJリーグやACLとも違う。とにかく日本よりも速くて強いチームばかりで、ちょっとした判断の遅れや迷い、技術的なミスが失点に直結する。板倉はその1点の重みを南アフリカ戦で痛感した。

 それでもプロ3年目の20歳は、ボランチで勝負したいと考えているはずだ。以前板倉にセンターバックかボランチ、どちらが好みか問うたところ「自分としてはボランチで…」と答えていたことを記憶している。

 世界を知った“ボランチ”板倉は言う。

「フロンターレでも結構ボランチをやっていることが多いので、そこで勝負したい気持ちはある。まだまだスキがあったり、ミスしているところはあるので、本当に全部、自分が真ん中で潰せるくらいの存在感や迫力を持てる選手になりたい」

●日本では貴重な長身ボランチ。大化けの期待も

 所属する川崎フロンターレでも、プロ2年目の昨季から徐々に出場機会を増やしている。風間八宏前監督も、鬼木達監督も、板倉を起用するのは中盤だ。日本では珍しいセンターバッククラスの長身ボランチは、U-20W杯を経て大化けするかもしれない。

 昨年のAFC U-19選手権(U-20W杯アジア最終予選)でも日本代表メンバーに入っていた板倉だったが、出場機会は準決勝ベトナム戦のわずか1試合のみ。チームはアジアの頂点に立ったが、個人的には悔しさの残る大会だった。

「本当に試合に出たいという思いが強かった。最終予選は全然試合に出られなかったので、試合に出たいという思いは強く持っていました。ただ今回来られていないメンバーもいる中で、しっかりその人たちの分まで頑張らなければいけないと思う。次に切り替えてまた頑張りたい」

 ひとまず1勝を挙げたものの、次にそびえ立つウルグアイやイタリアの壁はさらに高い。個人でも組織でも、日本の数段上のレベルにある相手と戦わなければならない。だが、勝機は確実にある。世界を知り、世界クラスの体格を備えたボランチ・板倉が日本の中盤のキーマンになっていくかもしれない。

(取材・文:舩木渉【水原】)

フットボールチャンネル編集部

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