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現代の生活スタイルの元祖「同潤会アパート」に託された昭和初期の人々の想い

5/22(月) 17:00配信

デイリー新潮

「代官山アドレス」「表参道ヒルズ」がかつて、同潤会アパートという、大正末期から昭和初期にかけて関東大震災復興支援のために建てられたシンボリックな建造物の跡地に立つことを、今の若者はもう知らないかもしれない。

 UR都市機構によれば、青山、代官山など16カ所にあった 同潤会アパートは、当時まだ珍しかった鉄筋コンクリート造の建物に、狭いながらも、ガスや水道、水洗便所を備えた賃貸住宅として新しい生活様式を提示したいう。それ故に当時の都市部の人々にとっては、ここに住むのがある種のステータスであった。また、鉄筋コンクリート構造の建物は、関東震災を経験した人々にとって、安全面でも強く惹かれる面があったという。

 そんな同潤会アパートには、各界の識者たちも惹かれ、政治家の前尾繁三郎、劇作家の正宗白鳥、演劇評論家の坪内士行、精神科医のなだいなだ、オーディオ評論家の長岡鉄男など、数多くの著名人が住んでいた。

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 代官山の駅から徒歩1分。敷地面積は5,976坪という広大な土地に建てられた代官山アパートは、敷地には多くの緑が配置され、敷地の起伏を生かした傾斜地には2階建てと3階建ての鉄筋コンクリート造りのアパート、公衆浴場、食堂などが揃っていた。

 《魚屋や豆腐屋の自転車が行商に来ると、女たちが部屋から出てきて買い物を始める。顔見知り同士が挨拶を交わし、買い物の後にも立ち話をしている。
 変わった場所だと思ったが、こうして眺めていると、ごく普通の暮らしが営まれている。そういえば高いところに住むのを嫌っていたくせに、八重はあまり外に出ようとしなかった。最新のアパートメントに住むようなモダンな人々と、どう接したらいいか分からなかったのだ》

 これは同アパートを舞台にした連載小説「月の砂漠を 同潤会代官山アパートクロニクル」からの一節だが、全てが創作ではない。同作は昭和の時代に、同潤会代官山アパートで暮らしたある家族の歴史を描いた作品。著者はシリーズ累計640万部を記録し 剛力彩芽主演でテレビドラマ化もした『ビブリア古書堂の事件手帖』で知られる作家・三上延さん。三上さんは当時、実際に同アパートに住んでいた人たちに多数取材重ねた。

 三上さんが取材をしたなかには集団就職で働き始め、高度経済成長に沸く東京の建設現場で頭角を現して会社を設立、今で言えば億ションだった同アパートを20代前半で 購入した、なんていう強者もいたという。

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最終更新:5/22(月) 19:20
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