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井上大仁の妄想力。「東京五輪のマラソンで勝つイメージもできている」

5/23(火) 11:35配信

webスポルティーバ

【男子マラソン界の星・井上大仁 後編】

 8月のロンドン世界陸上選手権でマラソンに出場する井上大仁(ひろと/MHPS:三菱日立パワーシステムズ)は、山梨学院大学で1年から箱根駅伝を走り、2年からは「日本人エース」と呼ばれるようになった。

【写真】前編>世界陸上日本代表で最速タイム、井上大仁が東京マラソンで試したこと

 チームには常にケニア人留学生がいたため、実績に見合うほどの注目を集めることはなかったが、彼が着実に成長するためには「好都合」だったのかもしれない。井上自身も、それを否定しない。

「1学年下のエノック・オムワンバの強さを間近で見せつけられていたので、自分がどんな結果を出しても喜べないというか……。自己新を更新しても、『そこで終わりか?』といつも思っていました。

 駅伝でもエノックに助けられたという感じはあるし、自分がゲームをひっくり返すような走りができたというわけではないので、『まだまだだな』と。他にも、同世代には強い選手がたくさんいましたし、そういう人たちに勝つにはどうしようかと考えていました。駅伝の結果や1万mの自己ベストに一喜一憂するのではなく、常に上を見る目線でいられましたね」

 昨年、井上と同じMHPSに加入したオムワンバは、山梨学院大1年時に出場した出雲、全日本駅伝で区間賞(全日本では2区の区間新記録を更新)を獲得し、箱根駅伝では12人をごぼう抜きする大活躍。2年以降はケガに悩まされて駅伝では苦戦したものの、トラック競技で輝かしい記録を残し続けた。

 駅伝を走る前にはいつも「一緒に頑張りましょうと話しかけてくれた」というオムワンバに、初めは憧れの気持ちを抱いていたが、徐々に、「彼ひとりに頼るわけにはいかないなという気持ちが出てきて、頑張らなければいけないなと思うようになった」という。

「エノックは下りを苦手にしていて、1年の時は『足が痛いんじゃないか?』と心配するような走りだったんです。そういう弱点のような部分も見えたし、スピードでは勝てないけど、長い距離だったら負けない自信もあった。完全に『参りました』という気持ちにはならなかったのがちょうどよかったんです。同じチームの後輩として、ライバルとして彼がいてくれたおかげで今があるし、これからもそういう関係でありたいと思います」

 井上が初めて「世界で戦いたい」という夢を抱いたのは、長崎の鎮西学院高校時代。他校の同学年には村山謙太・紘太兄弟や市田孝・宏兄弟(両兄弟ともに旭化成)、中村匠吾(富士通)、西池和人(コニカミノルタ)といった錚々(そうそう)たる選手が顔を揃えていた。

 そんな中、井上の5000mのベストは3年時に出した14分29秒76で、その年の高校ランキングは127位。インターハイでは全国大会に出場できず、高校駅伝でも長崎県予選で名門・諫早高校の壁を破れぬまま卒業を迎えた。

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