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「『カオナシ』は当初、名前もない端役だった」引退を撤回した宮崎駿のアイディア力とスタジオジブリの仕事術

5/24(水) 17:30配信

デイリー新潮

 19日、宮崎駿監督が引退を撤回したというニュースが日本中を駆け巡った。新作のテーマは発表されていないが、公式ホームページによると「宮崎監督は『引退撤回』を決断し、長編アニメーション映画の制作を決めました。作るに値する題材を見出したからにほかなりません」とのこと。宮崎駿監督が長編アニメーションを手掛けるのは2013年の『風立ちぬ』以来とあり、ジブリファンだけでなく、世界中からどんな内容になるのか既に関心が寄せられている。今後、新作に関する情報を各メディアが注目し、「スクープ」を狙う事態になることは間違いないだろう。

 もっとも、当の宮崎監督ですら、その内容を固めきっていないのかもしれない。というのも、宮崎監督の一番のヒット作『千と千尋の神隠し』に関して、こんな興味深いエピソードがあるのだ。

 同作は言うまでもなく興行収入は300億円超。日本歴代興行収入第1位を達成し、さらにはアカデミー賞長編アニメ映画賞も受賞した作品である。この映画の語るうえで欠かせないのが、「カオナシ」というキャラクターだ。セリフもなく、謎のキャラクターにもかかわらず、観客に強烈な印象を与えたのは言うまでもない。

 ところが、実は「カオナシ」、当初の構想では、完全な脇役だったのだという。プロデューサーの鈴木敏夫氏はこのあたりの経緯について自著の中で秘話を明かしている(以下「 」内、『ジブリの仲間たち』(鈴木敏夫・著)より抜粋、引用)。

■名前もない脇役だった「カオナシ」

「(『千と千尋の神隠し』の)あらすじを宮さんから聞かされたとき、僕は正直ピンとこなかったんです。分かりやすいファンタジー活劇ではあるけれど、単純すぎやしないかと思った。僕の不満そうな反応を見た宮さんは、その場ですぐに新しい案を考えました。

『あ、そうだ! 鈴木さん、こいつ覚えてる? 橋のところに立ってたやつ』

 それがカオナシでした。もともとは、たくさんいる神様たちのひとり。名前もない脇役だったんです。そこから宮さんは瞬く間に発想を広げ、カオナシがいろんなものを飲み込みながら肥大し、湯場で暴れるまわるというお話を作り上げていきました」

 分かりやすいファンタジー活劇か、それともカオナシが登場する新しいストーリーか。鈴木氏は新しいストーリーの方が面いと感じながらも、カオナシという、人間の心の底にある闇を象徴するようなキャラクターを出すことで、映画が「ああ、おもしろかった」ではすまない、難しい映画になるのではないかと悩んだという。しかし、カオナシ=心の問題を取り扱ってこそ、ただの娯楽作品ではない“現代との格闘”を描いた作品になると感じたという。ゆえに宮崎監督から最終的な決断を迫られた時、つい「カオナシの方で」と言ってしまったと振り返る。

「そういう映画にすると決めたからには、宣伝にもカオナシを最大限に使って行こうと思いました。宣伝関係者を集めて、そのことを告げると、みんな怪訝そうな顔をします。聞いてみると、みんなはこの映画を『千尋とハクのラブストーリー』だと思っているんです」

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最終更新:5/25(木) 17:52
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