ここから本文です

なぜ「受け」じゃない? 「お茶請け」の意味と歴史を聞いてみた

5/25(木) 6:00配信

オトナンサー

 お茶と一緒に出されるお菓子などを「お茶請け」といいます。この、お茶請けにはどのような目的や歴史があり、また日本茶以外でも、お茶請けという言葉を使用できるのでしょうか。和文化研究家で、日本礼法教授の齊木由香さんに聞きました。

「請ける」には「支える」の意味

 まず、お茶請けの表記が「受け」ではなく、「請け」である理由は何でしょうか。

 齊木さんによると、「請ける」は「受ける」と同義語ですが、「支える」という意味もあります。そこから意味が転じ、「お茶を引き立てる」という意味合いで、「お茶請け」が使用されるようになりました。

 お茶請けは、お茶を楽しむために欠かせないものとされます。茶道においても、お茶の味を引き立たせるお菓子を用意することは、お客さまをもてなす側の大切な気遣いです。「お茶を頂く際には、ちょっとした気配りとして、お茶請けも一緒に楽しみたいですね」(齊木さん)。

 お茶請けには、胃の負担を和らげる“実際的な”効果もあります。お茶に含まれるカテキンやカフェインなどの成分は、空腹時に飲むと胃を刺激しますが、お茶請けを先に食べることで、刺激を和らげる効果を期待できるのです。

「空腹でコーヒーを飲む時に、ミルクや砂糖を入れたほうがよいのと同じです。お茶請けは先人が生んだ『生活の知恵』なのです」

初期は「栗」「干し柿」「シイタケ」

 齊木さんによると、お茶請けは、お茶を楽しむためのお菓子であり、日本茶に限らず、紅茶やコーヒーの場合も「お茶請け」という言葉を使用できます。お茶請けは、英語で「tea-cake」、つまり、お茶に合わせたお菓子という意味です。

「紅茶と緑茶は同じ茶樹から作られ、製造工程における発酵度合いの違いから、香りや味の違いが出てくるものです。しかし、ストレートで飲む紅茶には、意外にも和菓子がよく合います。また、茶の湯文化が根付いた金沢では、和菓子をお茶請けにコーヒーを味わうスタイルが有名です。紅茶やコーヒーのお茶請けに和菓子を頂くなんて、粋ではありませんか」

 初期(戦国~安土桃山時代)の茶席においては、麩(ふ)の焼きや栗、干し柿、シイタケをみそで炊いたものなどが、お茶請けとして出されていました。しかし、いずれもぜいたく品ではなく、「練り切り」「こなし」といった、色鮮やかで多様な形のお菓子が使われるようになったのは、安土桃山~江戸時代です。

 最近では、有名ショコラティエのピエール・マルコリーニ氏が「チョコレートに一番合う飲み物は水かお茶」と話して話題になりました。実際に、相性はとても良いそうで「高級チョコレートが新しいお茶請けとして定着する日が来るかもしれません」。

「お茶請けの本質は『お茶の良さを引き出すこと』、そして『おもてなしの心遣い』です。その意味では、お茶とお茶請けの組み合わせに正解はありません。シーンに合わせて、さまざまな組み合わせを楽しみましょう」

オトナンサー編集部

最終更新:5/25(木) 6:00
オトナンサー

記事提供社からのご案内(外部サイト)

オトナンサー

株式会社メディア・ヴァーグ

日々報じられるニュースの中から気になる話題をピックアップし、掘り下げた記事や、暮らしに役立つ基礎知識などをお届けします。