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VW『ゴルフ』は再び世界のクルマのベンチマークに返り咲くか?

5/25(木) 7:01配信

@DIME

 大規模なマイナーチェンジが施されたフォルクスワーゲン『ゴルフ』にスペインのマヨルカでひと足先に乗ってきた。結論から先に述べると、今回のマイナーチェンジによって、『ゴルフ』は再び世界中のクルマのベンチマークに返り咲いたと言えるだろう。

【グラフ】VW『ゴルフ』は再び世界のクルマのベンチマークに返り咲くか?

 その論拠は『ゴルフ』が今回のマイナーチェンジで、パワートレインの電動化、運転の自動化(運転支援)、コネクティビティの拡充という3つの課題に対して高いレベルでの回答を実現している点にある。進化具合がライバルたちに較べてひと足もふた足も大きいのだ。

 これらの3つは今後のクルマにとって喫緊の課題である。速さや操縦性などといった従来からの基準よりもはるかに優先されて開発が行われている。まずはパワートレインの電動化から報告したい。

■機械として優れているか? ★★★★★(★5つが満点)

 すでに『ゴルフ』にはプラグイン・ハイブリッド版の『ゴルフGTE』が日本でも導入されている。その優れたドライバビリティと独特な走行フィールを筆者は高く評価してきた。今回はソフトウエアとメカトロニクスの改良が施された。「細かな改良の積み重ね」だけだと開発者のフィリップ博士は言っていたが、これが実に大きな成果を挙げていることをマヨルカの路上で確認することができた。

 エンジンとモーターの切り替わりやパワーの制御がキメ細かくなり、あらゆる速度域で実にスムーズかつパワフル、そして静かに走る。上質でいて、快適この上ない。エンジンのみの『ゴルフ』各車と“次元が違う”と断言して構わないだろう。

 また、『GTE』には「GTEボタン」がセンターコンソールに設けられている。これを押すと、エンジンとモーター、トランスミッションなどのパワー特性が一気に変わり、アクセルワークに敏感に反応して、素早く最大限に大きなパワーを引き出せるようになる。

 平坦な一般道を走っていると分かりにくいが、アップダウンのあるワインディングロードで顕著に現れてくる。スポーティに走れて、クルマが活き活きしてくる。モーターをエコドライブだけでなく、パフォーマンスにも巧みに活用している好例だ。

 初代『ゴルフ』に1976年に設定された『ゴルフGTI』はホットハッチというジャンルそのものを作り上げたが『ゴルフGTE』はそれを全面的に革新する“21世紀のゴルフGTI”である。ホットハッチというジャンルが今後も生き延びるとすれば、『GTE』のようなモーターを有効に活用するのが最善の策ではないだろうか。そう深く思わされるほどの完成度の高さだ。

 ピュアEVの『e-ゴルフ』は今秋初めて日本に導入される。カタログ値での航続距離は約300km、エンジニアによると現実の路上でも約200kmは走るという。チャデモ対応の急速充電だから使いやすい。『GTE』と同じようにモーターによってスムーズで静かに走る。EVであることと同時に、優れた居住性や多用途性は他のゴルフと変わらない点がとても現実的だ。

 次に、運転の自動化。運転支援とも呼ばれる、運転中のドライバーの負担を軽減する技術だ。今度の『ゴルフ』では、渋滞時のストップ・アンド・ゴーに対応可能な「トラフィックジャムアシスト」が採用され、半自動運転(運転支援)がレベルアップした。

 これは、60km/h以下での走行中に前車との車間距離を一定に保ちながら追随し、その後の停止と発進を繰り返すもの。さらに、車線の中央部分をキープし続けることもアシストする。ドライバーによって右寄りや左寄りに走る習性にも対応するというから驚きだ。

 つまり、新しい『ゴルフ』は前後方向にも横方向にもクルマの動きを制御することが可能となり、運転の自動化(運転支援)をさらに前進させた。事故防止、省エネ、ドライバーの負担軽減に大きく貢献する。この延長線上に自動運転が控えている非常に重要な技術である。

 そして、コネクティビティについてはインターネットに接続する「ガイド&インフォーム」が車載のSIMカードによって利用可能となりコネクティビティも拡充した。もちろん、スマートフォンを接続してのテザリングによるアクセスも可能だ。

 これら3つについて『ゴルフ』より上級セグメントのクルマでも『ゴルフ』並みに進化しているものばかりではないのが現状だ。それ故に、今回のマイナーチェンジでの進化の大きさが際立っている。

■商品として魅力的か? ★★★★(★5つが満点)

 他にも、今回のマイナーチェンジで改められたところは多い。ベースモデルに新エンジン1.5TSI(96kW/110kW)が初搭載されたり、7速DSGに改良が加えられ、燃費が向上したりもした。車内に乗り込めば、ジェスチャーコントロール機能を備えた「Discover Pro」インフォテインメントシステムや、より大型のタッチスクリーンも導入された。

 外観も、フロントとリアのバンパーデザインが一新され、よく見るとヘッドライトにLEDが採用されている。さらに最上級グレードになると、フルLEDテールライトにダイナミックウインカーも用いられている。上級セグメント並みの押し出しだ。

 あらゆる部分に進化が認められ、抜かりがない。その進化も単なる前例踏襲で終わっておらず、時代の変化の本質をいち早く捉え、新傾向と新技術をふんだんに投入して商品として具現化している。その姿勢が『ゴルフ』のアドバンテージを生み出し続けている。

 モデルバリエーション、ボディカラー、ドア枚数、パワートレイン、コネクティビティなどにおける選択肢が日本仕様はまだヨーロッパ仕様に及んでいない。クルマ自体の完成度がとても高いので、選択肢を増やせばより魅力的な商品として映ることだろう。

文/金子浩久

@DIME編集部

最終更新:5/25(木) 7:01
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