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SIMを差し替えず世界中でつながるWi-Fiルーター『WiFi GLOCAL NET』は本当にお得?

5/25(木) 7:11配信

@DIME

 渡航した国に応じて自動的にSIMカードの内容を書き換え、現地で割安な料金の通信サービスを受けられる。こんなコンセプトの商品が、グローカルネット社の「WiFi GLOCAL NET」(以下、GLOCAL NET)だ。このWi-Fiルーターは、中国で「GlocalMe」と呼ばれ、通信企業大手のファーウェイからスピンアウトした技術者によって作られたもの。これを自社の商品として日本で販売するのが、グローカルネットの役割だ。

【写真】SIMを差し替えず世界中でつながるWi-Fiルーター『WiFi GLOCAL NET』は本当にお得?

 単にGlocalMeの代理店として販売しているだけでなく、コアの技術を用いながら、自社製品として、料金なども独自に設定しているのがポイント。最新機種の「GD2」では、日本向けに、ドコモのBand 19(800MHz帯)に対応するなど、ハードウェアもグローバル版からカスタマイズしている。このGLOCAL NETを借り、台湾で使ってみた。

■電源を入れたら自動的につながる気軽なWi-Fiルーター

 台湾に着き、GLOCAL NETを使ってみるため、電源を入れた。すると画面に「インターネット接続中」と表示され、しばらくするとアンテナマークが変化。3Gと表示され、ネットにつながった。事前に料金プランへの申し込みなどは必要になるが、現地での設定は一切必要なく、起動するだけでOKと手軽だ。SIMカードも入れていない。

 ここに、同社の技術の鍵がある。GLOCAL NETにはクラウドSIMと呼ばれるSIMカードが内蔵されており、これが同社のサーバーと通信することで、設定を書き換える仕組みになっている。国際ローミングをしているのではなく、台湾であれば、台湾の通信事業者と、ダイレクトにつながるというわけだ。

 そのため、料金も国際ローミングに比べると、割安に設定されている。日本以外で使用した場合の料金は、世界均一。1日300MBまでが800円で、500MBまでが1200円となる。既定の容量を超えると、通信速度に制限がかかる仕組みだ。auの世界データ定額などが始まっており、同サービスは1日980円のため、必ずしも国際ローミングより安いとは言い切れないが、2段階制で最大2980円よりは割安と言えるだろう。Wi-Fiルーターという特性上、旅行をしたときなどは、複数人で使えば、料金的なメリットも大きくなる。

 実際、筆者は台湾で、記者会見中や記事執筆中のPCを使ったネット接続を、丸1日、このGLOCAL NETでまかなってみた。記事執筆には、画像のアップロードも含まれるため、使うデータ量はそれなりに多くなる。それでも、500MBを使い切ったのは、夜の23時ごろ。撮った写真をすべてアップロードするなど、ムチャな使い方をしなければ、1日中、ネットを使える容量といえるだろう。

 ただし、23時に使い切ってしまったことは事実。仮にスマホやiPadなど、別のデバイスをつないで、アプリをアップデートしたり、動画を観たり、写真をSNSに載せたりしていたら、もっと早く容量が尽きてしまったおそれがある。複数人で使うとなると、ヘビーユーザーの場合、500MBでは足りないかもしれない。ここは、より大容量のプランを用意してほしいところだ。

 一方で、GLOCAL NETには、SIMカードスロットが2枚搭載されている。こちらに、現地のSIMカードを挿すことも可能だ。台湾のように、現地キャリアが旅行者向けに割安なデータ定額プランを出している国や地域では、到着直後だけクラウドSIMを使い、現地SIM入手後はそちらに切り替えるといった使い方もできる。ユーザーに工夫の余地があるのは、うれしいポイントだ。なお、1日の基準は、グリニッジ標準時間の24時となる。これは日本時間で9時。筆者が使用した台湾では、8時にカウントが始まる。24時ちょうどで切り替わるわけではないため、注意が必要だ。

■操作性もシンプルで、モバイルバッテリー代わりにもなる

 操作性もシンプルだ。Wi-Fiルーターではあるが、ベースはAndroidが採用されており、タッチパネルで操作することが可能。スマホのようにサクサクと反応するわけではないが、そもそも設定すべき項目がほとんどないため、あまり困ることはないだろう。ただし、その名残か、なぜか側面に音量ボタンが搭載されている。Wi-Fiルーターなので、音はならないはずなのだが(笑)。マナーモードも備わっているが、これも現時点では意味のない機能だ。

 本体は、高さ117×幅63.8×厚さ20.9mmと、スマホを一回り以上コンパクトにしたような格好。一方で、厚みは20.9mmあり、ポケットなどに入れると、少々かさばってしまう。そのぶん、バッテリーは6000mAhと大容量。本体底面にはUSB端子も搭載されており、ここにケーブルを挿すと、スマホなどを充電することができる。Wi-Fiルーターとしてバッテリーが余ったら、モバイルバッテリー代わりに使えるというわけだ。

 端末の電波マークを見ると分かるが、ここには3Gや4Gなどの通信方式は表示されるが、どのキャリアにつながっているのかが分からない。クラウドSIMで最適な通信に切り替えるというのがその理由だというが、どのキャリアにつながっているのか分からないのは少々不便だ。

 実際、台湾では最大手の中華電信でしっかりつながっていた場所で、GLOCAL NETの電波が弱いこともあった。普通は電波状況を見比べたりはしないかもしれないが、旅行では山間部など、キャリアによってはエリアが十分でない場所に行くこともあるだろう。その際に、事前にエリアを調べられないのは、ネックだと感じた。設定がシンプルでユーザーが迷うことなく操作できる半面、込み入ったことができないという印象だ。

■速度は現地キャリアに及ばず、国内利用も魅力的

 では、速度はどうか。取材先のHTC本社や、ホテルのある西門、空港へ移動する際の台北駅で速度を測定してみたが、おおむね下りは1~2Mbps程度出ていた。Webなどを表示するのであれば、そこまで待たされる印象はない。一方で、データサイズの大きなファイルをダウンロードするような用途には、あまり向いていない速度だ。同じ場所で測定した中華電信のネットワークでは、20~30Mbps以上出ていたため、速度では現地SIMに軍配が上がった。

 もっとも、これは台湾の台北市で測った結果で、すべての国が同じとは限らない。通信速度は生ものに近く、ユーザーの密集状況やその時々の電波状況によっても、大きく変わってくる。そのため、一概にGLOCAL NETが遅いとは言い切れないことは念頭に置いておくべきだ。少なくとも、通信制限がかかるまでは、仕事をこなすことはできた。状況に応じて、現地のSIMカードをSIMカードスロットに挿すなど、ユーザー側でも臨機応変に対応するようにしたい。

 海外渡航用のWi-Fiルーターと思われがちだが、実は日本国内でも利用価値がある。国内では料金体系が異なり、1か月単位で課金される。3GBが1000円、5GBが1500円、7GBが2000円、10GBが2500円と、水準はMVNOのそれに近い。基本料の400円がかかるのがネックだが、接続にはクラウドSIMを使っており、グローカルネットによると、ドコモやソフトバンクなど、複数のキャリアを切り替えながら使っているという。

 日本のキャリアはエリアがとにかく広く、諸外国に比べ、きめ細やかに設計されている。山間部やビル内のおくまった場所でも、例外をのぞき、きっちりつながる印象だ。それでも場所によってはキャリアの差が出てくる。エリア面でのバックアップが取れているという意味では、安心して利用できるWi-Fiルーターと言えるだろう。もちろん、日本にいる間は、海外用の料金はかからない。データ利用が多く、海外にも頻繁に渡航するユーザーは、1台持っておいても損のないWi-Fiルーターと言えそうだ。

【石野's ジャッジメント】
UI         ★★★★
レスポンス     ★★★★
バッテリーもち   ★★★★★
連携&ネットワーク ★★★★
質感        ★★★
オリジナリティ   ★★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

@DIME編集部

最終更新:5/25(木) 7:11
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