ここから本文です

実は恩義を重んじる、日ハム栗山監督とレアードの“絆”

5/25(木) 12:31配信

Wedge

 日本ハムが最下位に沈んでいた4月20日、東京ドームでのオリックス戦の試合前のこと。“スシポーズ”(寿司を握る真似)のパフォーマンスでお馴染みのブランドン・レアードが、栗山監督に向かって明るく声をかけた。

レアード「(日本語で)元気デスカ?」
栗山監督「元気じゃないよ」
レアード「0h,Why?」
栗山監督「いや、いまは元気じゃないけど、試合が始まったら元気になるから」
レアード「(日本語で)頑張ッテ~!」
栗山監督「OK!…OKじゃねえよ! おまえが頑張ってくれよ!」

 栗山監督が返した一言に、私は思わず噴き出してしまった。このやり取り自体は取材の現場でよくある笑い話だ。テレビニュースや新聞記事になるようなネタではない。

 しかし、その後、レアードが調子を上げるにつれ、日本ハムも徐々に勝ち星を伸ばし、5月3日のロッテ戦で5位に浮上する。さらに、12日のロッテ戦では13安打15得点で大勝。日本ハム打線が放った7本塁打のうち、2本がレアードのアーチだった。レアードの勢いは翌13日も止まらず、のっけから2発のホームランを打って、4打数連続本塁打の日本タイ記録を達成。ロッテのアルフレド・デスパイネとホームランダービーのトップを争っている。

 事ここに至って、私は考えた。先日のレアードと栗山監督の会話には、ひょっとしたら深い意味があったのかもしれない、と。あるチーム関係者がこう解説してくれた。

 「レアードというと、ホームランバッターの印象が強いでしょう。来日1年目の2015年に34本、2年目の16年には39本打って本塁打王も取ってるし。でも、1年目の前半はまるで打てなかったんですよ。打率も2割に届かず、ヨソの球団だったらとっくの昔に代打要員に格下げされていてもおかしくなかった。そんなとき、栗山監督は『レアードは必ず打つ。おれは信じてる』と辛抱強く使い続けた。レアードも監督の我慢に応えて結果を出している。あのふたりの間にはそういう強固な信頼関係があるんです」

 16日の楽天戦はレアードの悪送球が一因となって敗れ、連勝が4でストップしたが、栗山監督は「彼の本塁打で勝つこともある。一所懸命やっていればミスも出るよ」とかばっている。これも絆の強さを感じさせる発言だった。

 そこで思い出したのが、巨人のケーシー・マギーと高橋由伸監督である。マギーはオープン戦まで打棒が振るわず、「これなら村田修一を使った方がマシ」と主張するメディアや評論家が続出。ネット上にも「村田が可哀想だ」というファンの声が溢れていた。そうした雰囲気に敏感なマギーは、自分がチームにとって邪魔な存在になっているのではないかと、来日当初から気に病んでいたという。

1/2ページ

最終更新:5/25(木) 12:31
Wedge

記事提供社からのご案内(外部サイト)

月刊Wedge

株式会社ウェッジ

2017年8月号
7月20日発売

定価500円(税込)

■特集  世界を揺るがす中国の地政学
・「アジアの地中海」をめぐる攻防
・「一帯一路」は中国共産党の生命線
・地政学で読む中露の「おいしい」関係