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追悼・与謝野馨氏 「耳障りなこと」を言い続けた大物政治家の人物評

5/25(木) 13:40配信

デイリー新潮

 与謝野馨元衆議院議員が亡くなった。享年78。

 その経歴については、もはや繰り返すまでもないかもしれない。

 歌人の与謝野鉄幹・晶子を祖父母に持ち、本人は1976年の初当選以来、自民党きっての政策通として知られた。文部、通産大臣、官房長官等を歴任している。

 その与謝野氏の初の著書、『堂々たる政治』は、氏の政治哲学や「同業者」たちの人物評が盛り込まれた1冊だ。

「耳障りなことでも事実をきちんというのが政治家の仕事」という信念をもっていた与謝野氏だけに、率直に語られている政治哲学や政治家についてのエピソードは今読んでも興味深い。追悼の意味も込めて、いくつか紹介してみよう(以下、引用は同書より)。

■安倍さんは性格が良い

 まずは安倍晋三首相について。与謝野氏は先輩としてつきあってきたが、第一次安倍改造内閣で官房長官をつとめることになる。

 与謝野氏によれば、安倍首相は「勉強家」だったという。かつてアーミテージ元米国務長官と与謝野氏、安倍氏らで勉強会を開いたことがあった。

「このとき晋三氏は、ミサイル防衛など専門的な事について、アーミテージ氏とも対等に話していた。アーミテージ氏が『アベさんは、非常によく物を知っている』と驚いたことは今でもよく憶えている。

 最新の知識のみならず、戦前も含めた外交史、中国、韓国などの権力構造にまで詳しかったことに、私も驚いた」

 性格も良かった、と述べている。

「総理辞任の後の手記を読んでも、決して他人を責めるようなことをしていない点からわかる通り、性格が良く、非常に率直で、陰謀や策略を巡らすこともない。

 腹に一物あるような人ではなく、非常に仕えがいのある人だった」

■天才・小泉純一郎

 小泉純一郎元首相については「天性のカンとひらめきの持ち主」だった、として、次のようなエピソードを紹介している。今では伝説となりつつある「郵政解散」は、法案が参議院で否決されたからという理由で、衆議院を解散するという、かなりの「奇手」だった。そのため、そんなことできるわけない、というのが普通の見方だったという。

 しかし、小泉元首相は、こんな信念をすでに与謝野氏らに語っていた。

「私の先輩たちは、肝心なときに人に相談して判断を間違ってきた。私は肝心なときは絶対に人に相談しない。自分で決める」

 普通の人ならば、肝心なことは人に相談しようと考えるのだが、その正反対。その良し悪しは別として、「天才」だった、と振り返っている。

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最終更新:5/25(木) 15:39
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