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別れた妻が連絡せず再婚、養育費はまだ払うべきか?

5/26(金) 16:01配信

マネーポストWEB

 厚生労働省が発表した「人口動態統計」の2014年のデータを見ると、婚姻が64万3749組だったのに対し、離婚は22万2107組に達しており、およそ3組に1組のカップルが離婚している計算になる。子どもがいるカップルが離婚した場合、問題となるのが養育費だが、離婚した妻が連絡せずに再婚した場合、娘の養育費を払わなくてもよいのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 2年前に妻と離婚。慰謝料はナシでしたが、6歳になるひとり娘の養育費として毎月10万円を支払っています。しかし、知人から半年前に彼女が再婚したのを知らされ、そうであれば、半年分の養育費の返還と今後の支払いはしなくてもよいのではないかと思っています。私の考え方は間違っていますか。

【回答】
 離婚時に毎月10万円と決めた以上、その合意の効力が失われない限り、約束に沿って支払い続ける義務があります。あなたの主張は、元奥さんの生活状態が変わって、自分からの養育費が不必要になったから、養育費の支払い義務がなくなったという理屈でしょうが、その理屈が立つためには、養育費支払い合意が変更になる根拠が必要です。

 もし、合意する際に再婚したら連絡せよとの約束があれば、黙っていた元奥さんは約束違反になります。ただ、母親の再婚だけで、未成年者に対する父親の養育費が0円になるとは考えられません。しかし、再婚連絡で後述の手続きを取ることができ、確実に減額が認められたであろう金額を立証できれば、その分の損害賠償の請求も可能かもしれません。

 ただし、再婚の通知義務がない以上、元奥さんが養育費の支払いを受け続けても債務不履行ではありません。これは具体的な養育費の内容を夫婦間の協議で定めた場合でも、いったん定められた具体的扶養義務の内容は、再協議又は養育費を変更する審判を経るまで変更されないと解されるからです。

 家庭裁判所は「(扶養額について)協議または審判があった後事情に変更を生じたとき」に変更することを認めています(民法880条)。養育費の額を決めたときに、予想されていなかった事情が発生した場合に変更が認められるのです。

 離婚に際し、養育費を決めたときに再婚が予想され、そのことを前提にした額を決定した場合は別ですが、普通であれば再婚は前提とされていませんから、一方が再婚すれば事情変更といえます。

 あなたの場合も同じでしょう。元奥さんの再婚相手の家庭環境や養育費の負担状態も勘案され、金額が変更される可能性がありますので、減額を求める調停を申し立てることをお勧めします。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2017年6月2日号

最終更新:5/26(金) 16:01
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