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受動喫煙防止法案の混乱~個別の事情を考慮しない厚生労働省の発想が経済損失8401億円をもたらす

5/26(金) 12:10配信

PHP Online 衆知(Voice)

「全面禁煙の強制」に等しい

 たばこに関する問題がかまびすしい。厚生労働省が受動喫煙防止対策の強化に乗り出して以来、政治を巻き込んだ混乱が生じている。
 2017年の通常国会では、受動喫煙防止法案(仮称)の国会提出をめぐって議論が紛糾した。自民党の塩崎恭久厚生労働大臣や尾辻秀久議員(元厚労大臣)、共産党の小池晃議員(「東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止法を実現する議員連盟」副会長)などの嫌煙派議員は、法案提出に諸手を挙げて賛成。
 これに対し、自民党のたばこ議連(会長・野田毅前党税制調査会長)が2017年3月7日に臨時総会を開催。飲食店や旅館・ホテル、小売店、葉たばこ農家などの経営に与える悪影響を強く訴えた。
 今年3月、「森友学園問題」での国会空転に辟易した人は「今度はたばこか」「もっと日本の根本に関わる議題があるのでは」と感じるのが正直なところだろう。
 同法案を推進する厚生労働省の姿勢は、「国民の8割を超える非喫煙者を受動喫煙による健康被害から守るため、多数の者が利用する施設等の一定の場所での喫煙の禁止と、管理権限者への喫煙禁止場所の位置の掲示等を義務づける」(2017年3月1日発表「受動喫煙防止対策の強化について〈基本的な考え方の案〉」)というもの。「国民の8割」「多数の者」の立場をアピールすることで、少数派=喫煙者の声を封じようとする意図も窺える。
 疑問なのは、飲食店などサービス業の施設は原則禁煙として喫煙室の設置は認め、それに違反した施設管理者や喫煙者に罰則を科す、という厚生労働省案の内容である。
 原則禁煙に加えて「喫煙室の設置」を認めるところは一見、事業者への配慮を感じさせる。だが、よく考えるとおかしい。
 夜のスナックや個人経営の小料理屋など、小規模ビルの一室にあるような店舗に、駅ナカやオフィスビルで見掛けるような喫煙室をつくるのはそもそも無理だからだ。つまり法整備案の実態は「全面禁煙の強制」に等しい。

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