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「魔法の布」の可能性さぐる ふろしき専門の「むす美」

5/26(金) 11:50配信

NIKKEI STYLE

 さまざまな形のものを包み込む「ふろしき」。かつては日常生活の必需品でしたが、生活様式の西洋化が進むなか、その存在は忘れられつつありました。そんな伝統的な和雑貨が、新たなファッションアイテムとして注目されています。独自ブランド「むす美」を展開する山田繊維(京都市)は、ふろしきの『イノベーション』に取り組む専業メーカーのひとつ。前回公開の動画「ふろしき『今』に再発掘 伝統をイノベーション」では紹介しきれなかった関係者の声をお届けします。

【動画】ワインを包んでプレゼント!? ふろしきイノベーション

山田繊維 社長 山田芳生さん

 山田繊維は1937年創業のふろしき専業メーカー。東京・神宮前にふろしき専門店「むす美」を出店したり、イタリア・ミラノの国際見本市「ミラノサローネ」に参加したり、ふろしきの新しい可能性を追求してきた。

 そもそもふろしきを本業としてきたが、いつしか巾着やがま口など、布物の雑貨を多く手がけるようになっていた。3代目として2003年に家業を継いだ山田さんは、ふろしき専業メーカーへと舵(かじ)を切ることを決断する。

 「メーカーとして、取引先に分かりやすい商品の軸が求められると思い、一番の強みであるふろしきをちゃんとやり直そうと考えた」というのが理由だ。

 こうした思いは店づくりにも現れている。東京の店舗、京都市に4月オープンした新店舗ともに、壁一面に何百枚ものふろしきを一枚一枚の絵柄がわかるように展示して「パレットウォール」とした。手にとってもらうため、まずはデザインを訴える狙いだ。さらに、包んで結んだふろしきを天井からつり下げ、使い方をイメージできるようにした。

■ふろしきは使ってもらって完成品

 「ふろしきは一枚の四角い布で、それ自体では本当の意味の完成品ではありません。結び方によってラッピングになり、バッグにもなり、そうして完成するものなのです。まずはその使い方を知ってもらうことが大事だと思っています」

 山田さんはデザイナーやクリエーターとのコラボレーションに積極的に取り組んでいる。人気ファッションデザイナーの皆川明さんのブランド「ミナ ペルホネン」とのコラボレーションはその代表例だ。

 かつてはふろしきらしい、伝統的なデザインのものしか売れなかった。「洋風のデザインの商品をつくってもなかなか受け入れてもらえなかった」という。そんなとき、皆川さんと「期待されるデザインの殻を打ち破ることは難しい。それでも、強い決断力があればできるはず」と意気投合、コラボへとつながった。こうして「現代的なデザインのふろしきがどんどん広がっていった」という。

 「ふろしきは日本の伝統文化の一つ。いまや生活必需品ではないが、大事な文化だからこそ、使ってもらうにはどうしたらいいのかと考え、今のライフスタイルに合うようにデザインを変えてきた」。これまでの取り組みをこう振り返る。

 山田さんはふろしきを「魔法の布」と呼ぶ。「広げてみればただの一枚の布。その一枚に魅力がなかったら、手にとってもらえない。非常にシンプルなだけに難しい商品だ。だからこそ仕事として非常にやりがいがある」

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最終更新:5/26(金) 11:50
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