ここから本文です

プロ野球の緊急補強にオススメ。BC新潟のトルス投手が熱投アピール

5/26(金) 7:50配信

webスポルティーバ

 よほどの野球好きでない限り、気にも留めなかっただろうが、4月22日、独立リーグのルートインBCリーグでノーヒット・ノーランが達成された。新潟アルビレックスBCのジョシュ・トルス(27歳)が、長岡悠久山球場で行なわれた武蔵ヒートベアーズ戦で、BCリーグ史上5人目の偉業を成し遂げたのだ。

【写真】あの投手がイップス地獄を告白

 トルスはここまで5勝(0敗)をマークし、防御率1.72(5月24日現在)。さらに完投数3も堂々のリーグトップと、まさに八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍を見せている。その実力は独立リーグの域を超えていると言っても過言ではない。

 それもそのはず、彼は今年3月に行なわれたWBCにおいて、オーストラリア代表の一員として、世界のトッププロ相手に堂々たるピッチングを披露していたのだ。地元記者の間では、シーズン途中でのNPB移籍候補の最右翼として名前が挙がっている。

 実はトルスのことは、WBC前にオーストラリアのウインターリーグ関係者からイチ押しの選手としてその名は聞いていた。

「背は小さいんだけど、140キロは軽く超えるよ。とにかくいいピッチャーだから、日本戦に投げれば、侍ジャパンのメンバーも苦労するんじゃないかな。NPBに行く力は十分あると思う。いま行き先を探しているんだけどね......」

 WBC前、トルスに「リーグ関係者からイチ押しの投手だと紹介を受けた」と伝えると、彼は喜びつつも「まだ、今シーズンのプレー先が決まっていないんだ」と口にしていた。日本では、シーズン直前に所属先が決まっていないというのは異常事態だが、オーストラリアでは決して珍しいことではない。

 2004年のアテネ五輪の銀メダル獲得に象徴されるように、一時期のオーストラリアは世界勢力図において強豪の地位を脅かす存在だった。しかし、この2004年をピークに下降の一途をたどり、一昨年秋に開催されたプレミア12には出場さえもかなわなかった。

 オーストラリアにもかつてはプロリーグがあったが、2002年に休止。その後、2010年秋にMLBの後押しによってプロリーグが再開されたが、俗に言うウインターリーグで、開催期間は4カ月ほど。試合数も40~50試合前後である。

 しかも、この国では野球はマイナースポーツの域を出ず、プロ野球リーグといっても、観客動員数は日本の独立リーグとさして変わらない。

 当然、選手への報酬も多くは支払えず、日本円にして月給10万円に満たない選手が大半だという。それだけでは生活できず、ほとんどの選手が仕事を持ちながらプレーしている。

 アテネ五輪でエース・松坂大輔から決勝打を放ったのはトラックの運転手だったと報道され、日本の野球ファンは驚かされたが、彼らは我々がイメージするような草野球のおっちゃんなどではない。プロレベルのスキルを持ちながら、それを磨ける場所が、この国の選手たちにはないのだ。

 そのようなオーストラリアの選手にとって、国際大会はまさに“就活“の場であり、モチベーションの高さゆえ、時にはアテネ五輪のようなジャイアントキリングが起こる。

 今春のWBCでオーストラリアは1次ラウンドで姿を消したが、選手たちの落胆ぶりはテレビに映った表情からも明らかだった。チームの敗退もさることながら、彼らが何よりも悲しかったのは、自分をアピールする場を失ったことなのだ。

1/3ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Sportiva

集英社

Sportivaムック
4月13日発売

定価 本体1,472円+税

フィギュア特集
『羽生結弦 平昌への道』
■ヘルシンキの激闘
■宇野昌磨、本田真凜ほか