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時間と私たちの蜜月関係。「時」がテーマの映画4選。

5/26(金) 18:20配信

VOGUE JAPAN

人は時の流れには抗えない。だからこそ、過去や現在、未来に対し、さまざまな想いを馳せる。でも、もし時間が巻き戻ったら? ある1日がずっとくり返されてしまったら? コラムニスト山崎まどかが、「時」にまつわる過去の名作から最新作までをセレクト。さあ、時間の旅へ出かけよう。

一生ものの時計に出会う。2017新作時計図鑑。

とある1日の無限ループに陥った中で彼が見出したものは?『恋はデジャ・ブ』(93)

気象予報士のフィル・コナーズは視聴者には人気だが、現場では傲慢で皮肉屋の嫌な奴だと評判だ。リス科の動物ウッドチャックが春の訪れを告げるグラウンドホッグ・デー(2月2日)の取材で訪れたペンシルバニアの田舎町パンクスタウニーでも不満そうな態度を崩さない。彼はさっさとこの町から都会に戻りたかったのだが、雪で足止めされてクルーと共に前の晩と同じ宿に泊まることとなる。

翌日起きてみると、その日は前日と同じ、2月2日だった。ウッドチャックの動向も、人々の行動も、気候も何もかもが同じだ。その翌日も、更に翌日も、日付は止まったまま動かない。フィルは時間のループの中に閉じ込められてしまったのだ。この無間地獄から逃れようと、彼はあらゆることを試すのだが、上手くいかない。しかし同じ日々を繰り返す中で、フィルは大事なことを学んでいく。

アメリカでカルト的人気を集めるコメディ。主人公以外の全てが同じことを繰り返すという反復と、そこに介入して何とか一日を違ったものにして運命から逃れようとするフィルの悪戦苦闘が笑いを誘う。主人公のフィルを演じるビル・マーレーの無表情な個性が映画にぴたりとはまった。今年、ブロードウェイでミュージカル版も上演されて、そちらも話題を呼んでいる。

結婚はゴールなのか? 真のハッピー・エンドを問うラブストーリー。『ふたりの5つの分かれ路』(04)

恋人たちにとって、ハッピー・エンドとは何だろう。互いへの思いが成就することや、結婚はゴールになり得るのだろうか? いや、そうではないだろう。二人の人間の関係性にはその先がある。時間は恋愛に容赦がない。それぞれが成長し変化していくなかで、最初に共有していた理想は失われ、想いは色褪せる。かくして、一番幸せな場面でストップ・モーションをかけなかったラブ・ストーリーは、苦い結末を描くこととなる。

フランソワ・オゾンのこの恋愛映画は、マリオンとジルという一組のカップルが離婚手続きを終えたところから始まる。その後、二人はホテルに行くが、もう互いの間にある溝を埋めることは出来ないと悟る。恋愛の苦い真実であるここが、普通ならばストーリーの到達点になるところだ。だが、映画はそこから時間が巻き戻り、この二人の歴史を遡っていく。

5つのパートに分かれた物語は順に、マリオンとジルの別れ、倦怠期、子供の出産、結婚式、そして出会いへと進んでいく。映画のラスト、ビーチで出会い、惹かれあったマリオンとジルは海へと泳ぎだしていく。キラキラと可能性が輝いている、この始まりの瞬間こそが恋愛のハッピー・エンドなのだという皮肉な事実をこの上なく残酷に、そして甘美に映し出したシーンだ。

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最終更新:5/26(金) 18:20
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