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『冴えない彼女の育てかた♭』7話 萌え文脈を裏切ってテクニカルな物語運びを考察してみる

5/26(金) 21:01配信

おたぽる

――加藤恵(かとう めぐみ/演:安野希世乃)の面倒くささ、次回予告でも勢いが止まりません。普段怒らない人間ほど、一度怒ると手がつけられなくなる見本のよう。かーずSPの『冴えない彼女の育てかた♭』(フジテレビ系)全話レビュー。

 ゲームが無事に発売されて落ち着いたと思いきや、あちこちに不穏の影が散りばめられている7話。いつにも増して伏線が多いので、ひとつずつチェックしていきます。


■美少女二人に囲まれて登校とかそれなんてギャルゲー? 

・不穏1:詩羽先輩の卒業。

 卒業の思い出作りのためか、霞ヶ丘詩羽(かすみがおか うたは/演:茅野愛衣)が安芸倫也(あき ともや/演:松岡禎丞)を待ち伏せて一緒に登校。そこに澤村・スペンサー・英梨々(さわむら・スペンサー・えりり/演:大西沙織)が割って入ってキャンキャン吠えます。問題は、かたや学園一の才媛にして畏敬を集める黒髪ロング黒スト巨乳美女。かたや美術部のエースにして学園一の人気を誇る、金髪ツインテールハーフ美少女。二人とも表向きの顔をとっぱらって、素の姿でひと目も気にせずけんけんごうごう。ギャルゲーイベント発生です。

 主人公が二次元オタクでギャルゲーを作っているのに、自分がそのハーレムギャルゲー環境にいることに無自覚というメタフィクション。女の子にゼロ距離で挟まれながら通学して、周りから羨望で見られたいっていう僕の貧相で浅ましいプライドも満足です(ニッコリ)。いやほら、ハーレム作品の楽しみ方って、女の子にモテまくるバーチャルリアリティ感を楽しむものなので!(個人の見解です)


・不穏2:恵の不機嫌さ。

 教室に入ると恵がそっけない。会話を遮って半無視を決め込んでます。英梨々曰く、

「そろそろ2ヶ月よ。いい加減これって自然消滅って言っていいレベルじゃない?」


・不穏3:元親友からの警告

 波島伊織(はしま いおり/演:柿原徹也)が倫也と喫茶店でお茶するシーン。背後の店員がBLを嗅ぎ取って目をパチクリさせて気にしてる小ネタがおかしいです。基本的に会話劇の本作。女性キャラのフェティッシュな画面映りで飽きさせない工夫をしているんですけど、男しか登場してない時は、こんなやり方で画面の退屈さを排除しているんですね。昔の同人誌を引っ張り出されて、
「5000万出す! 出すからその黒歴史を隠蔽させて!」

 猛烈に恥ずかしがる倫也。けれど倫也と伊織の関係がだんだん回復していってます。最初は「二度と顔を見せるな」って言ってたくらいなので。伊織はライバルですけど、先週は英梨々のために行動して、今回も謎の忠告をしてくれています。めっちゃ良いヤツじゃん波島伊織! まるで倫也がイケメンに嫉妬して、ひがんでる器の小さいヤツみたいっす。まあ実際そうなんですけど。その気持ちすごく共感しちゃうんですけど!

「続けろよ、サークル。君たちのいるべき場所を、ちゃんと残しておけよ」

「あの二人を、柏木エリと霞詩子を離すなよ」

 まとめると、

「詩羽先輩、卒業したあとも倫也のゲームサークルに参加してくれるの?」
「恵の静かなケンカ、取り付く島もなくて自然消滅のピンチ」
「伊織の警告は、不透明だけに全貌が見えなくてヤバイ」
「英梨々の絵のスランプ」

 Aパートだけで4翻、満貫です。劇中の天気がどんより曇り空なのも、物語に暗雲が漂っていることの暗示ですね。


■変則的な物語運びについて

 Bパートは、ラブコメ作品では一大イベントとなるバレンタインデー。ですが『冴えカノ』の場合、ここはあっさりと流してます。先週のコミケもそうだったんですけど、「そこ大事でしょ!」ってところはサラッと流して、かと思えば細かいポイントに大きな尺を取ったりします。キャラ配置が王道ラブコメなのに比べると、物語運びはかなり癖が強いんですよね。

 はっきり言ってしまうと、『冴えカノ♭』は萌え文化(アニメ、ギャルゲー、ライトノベル)の文脈を知らないと、楽しみが半減する上級者向けのところがあります。ですが萌え豚エリートは、ずっと同じ味を食べつづけて、萌えの味覚バカになっているのも事実。「お前が言うな」っていうか、僕のことなんですが。

 我々萌え豚は、バレンタイン! コミケイベント! って単語が出てくるだけで、ビッグウェーブがやってくることを覚悟して身構えます。なのに『冴えカノ』ではそういったときのパンチが意外と軽い。かと思えば、予想してないタイミングで重たいフィニッシュブローがやってきます。例えば1期9話、英梨々と倫也が仲直りすると見せかけて、壮大なケンカ。相手を許せないまま幕を閉じるとか。ボクシングにおいて、予想していないパンチが効くのと一緒。それで物語の変則的なテクニックが使われているんじゃないかと勝手に予想しています。

 さておき喫茶店で加藤恵を発見する倫也。今まで通り正面からぶつかってもダメなのが分かりきっているので、外からこっそりメールを打って、反応を伺います。恵の困惑する表情を見て、まだ脈ありと判断する策士っぷり。次週、倫也は恵と仲直りできるのかな?

 ちなみに今週のフェチ描写は少なめでした。でも詩羽先輩の
「そんなの、貴方が求めるなら、ここで今すぐシてあげてもいいのよ?」

 ってしなだれかかってくる時の黒ストッキングの膝小僧とか、セリフも相まってエロエロだったことを、ここにご報告申し上げます。

(文:かーずSP)

最終更新:5/26(金) 21:01
おたぽる