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【U20】余裕のイタリア、窮地の日本。運命の一戦で活かしたいウルグアイ戦の手痛い教訓

5/26(金) 15:00配信

フットボールチャンネル

 U-20W杯のグループステージも残すところ1試合となった。24日の第2戦、南米王者ウルグアイは日本に力の差を見せつけた。彼らはどのような狙いで日本戦に臨んだのか。そして、第3戦で対戦するイタリアは何を考えているのか。決勝トーナメント進出へ、日本にとって厳しい道のりが続く。(取材・文:舩木渉【水原】)

GL最終節のイタリア戦は27日 【U-20W杯】グループステージ組み合わせ

●南米王者に油断なし。日本の弱点を徹底攻略

 南米王者ウルグアイに油断は一切なかった。

 24日のU-20W杯グループステージ第2戦で日本を破ったU-20ウルグアイ代表のDFサンティアゴ・ブエノは試合後、「日本はラインを上げてプレスにきた。後ろから見ていたらスペースが相当あるように見えたので、後ろからパスを出す意識は持っていた。ピッチを広く使いたかった」と語った。

 ウルグアイは日本の弱点をしっかりと研究し、最初から最後まで嫌なところを突いてきた。前半は徹底してスピードに欠け、守備対応に不安のある左サイドバック・舩木翔の裏のスペースを狙う。最終ライン、あるいはアンカーに入ったフェデリコ・バルベルデが蹴るロングパスがスイッチになっていた。

 前半の序盤、日本は果敢なプレッシングでウルグアイを押し込み、パスワークで南米王者を翻弄しているように見えた。だが、これは「見えた」だけで彼らの術中にはまっていたのかもしれない。常にカウンターを狙っているのは明らかだった。

 守備から攻撃に転じた瞬間、ウルグアイは前線に残った3トップのいずれかに鋭いパスを通す。それに合わせてインサイドハーフのロドリゴ・ベンタンクールやカルロス・ベルナビデスが猛ラッシュをかけゴールに迫ってくる。

 その迫力は日本の選手も感じていた。原輝綺は「ああいうのは相手の進路上に入ってスピードダウンさせないといけない。横並びになったら明らかに相手の方が速いので、置いていかれる」と体感した世界の力について語る。

 だが、日本戦に向けてウルグアイに不安がなかったわけではない。試合後、ファビアン・コイト監督は記者会見で「フィジカルコンディションが良くなかった」と明かした。「日本のスタイルに支配された」とも述べている。

 確かにウルグアイの先発メンバーは、3日前のイタリア戦から1人変更したのみ。加えてファクンド・ワレルと、イタリア戦で衝撃的なフリーキックを決めたロドリゴ・アマラルは負傷によりベンチ外となっていた。

●「違いを見せつけられた。圧倒的な個の差があった」

 実際に後半になると、徐々にウルグアイの選手たちの運動量が落ちていった。しかし、これも彼らにとっては想定内だったように思える。試合を見ていると”走れていない”のではなく、”あえてペースを落としている”ように見えてきたからだ。

 そもそもすでに1勝を挙げているウルグアイにとって、日本戦は引き分け以上であれば問題ない試合だった。グループステージ最終戦は確実に勝ち点3を計算できる南アフリカ戦ということもあり、彼らの視線はすでに決勝トーナメントをどうやりくりしていくかに向いていたように思える。

 運動量が落ちても、チーム全体で自陣に引いてブロックを敷き、組織で守ればウルグアイにとって1点はセーフティリード。そんな自信が垣間見られた。そして試合の中で再びギアを上げる方法も知っている。

 80分にニコラス・スキアパカッセとニコラス・デ・ラ・クルスを下げてホアキン・アルダイスとファン・ボセッリを投入。ウルグアイは前線を活性化することでもう一度ペースを上げ、後半アディショナルタイムにとどめを刺した。

 そのゴールを決めたのは左サイドバックのマティアス・オリベイラだった。試合終了間際にゴール前まで全速力で駆け上がってくる、あの爆発力は驚異的というほかない。要所でしっかりと力を出し切る術を持っていたのはウルグアイだった。

 20歳以下とは思えないクレバーさとフィジカル、技術を目の当たりにした原は「違いを見せつけられた。決定力の差だったり、組織で守ればやれない相手ではないと思いますけど、個で見たときに圧倒的な差があった」と、その衝撃を語る。

 運動量が落ち始めたら無理をせず、あえて相手に主導権を渡して我慢する時間帯を作る。そして相手も消耗してきたら、残りのエネルギーを解放してとどめを刺す。この意識をチーム全体で共有して、実践できるウルグアイの若手には怖さすら感じる。彼らが日々どれだけシビアな環境で勝負しているのか思い知らされた。

●「日本戦はビッグゲーム」。イタリアは本気で3戦目へ

 日本が失点した2つのシーンも、完璧に崩されていた。シュートブロックに入ったDF中山雄太は1失点目について「スライディングせずに打たれて入ったら、滑らないとと言われる。自分が滑ったことで次ができた。滑らなければよかったと思った」と語る。

 2失点目の場面について「あれは股の間を警戒しすぎた。結果論ですけど滑ればよかったなと思う」と述べた。スライディングをかわされて1失点目、2失点目はスライディングできずにやられた。ゴール前で相手が余裕を持って判断できるところまで崩されていれば、どうしようもない。中山だけを責めるべきではないだろう。

 まさに完敗だった。清々しいほどに。

 ウルグアイはイタリア戦に続く連勝で勝ち点を「6」に伸ばし、決勝トーナメント進出が確定。27日の南アフリカ戦は控えメンバーを使いながら、疲れのあるメンバーには休みを与えることができる。ベスト16以降の戦いに頭を切り替え、優勝を見据えた戦いにシフトチェンジしてくるだろう。

 日本は27日のグループステージ最終戦でイタリアと対戦する。互いに1勝1敗で迎えるため、イタリアも本気で勝ちを狙いにくる。というのも南アフリカがもしウルグアイに勝利することがあれば、イタリアにはグループ首位突破の可能性が残る。

 グループステージを1位で抜けられれば、決勝トーナメント1回戦では他グループの3位チームと当たる可能性が高くなり、必然的にベスト8進出の可能性も上がる。来季のユベントス加入が決まっているイタリアのリカルド・オルソリーニは「日本戦はビッグゲームになる」と宣言した。彼らは本気だ。

●エースを失った日本。自信に満ち溢れるイタリア

 イタリアの選手たちが燃える理由はもう一つある。今年はU-21欧州選手権があり、本来ならU-20代表に入っているはずの何人かは、A代表のW杯予選もしくはU-21代表に招集される見込みになっている。ジャンルイジ・ドンナルンマやマヌエル・ロカテッリ、フェデリコ・キエーザといった選手たちがその例だ。

 U-20イタリア代表の選手たちは、同世代に先を越された悔しさをU-20W杯にぶつけてくるだろう。ここで活躍すれば、明るい未来が拓けてくるかもしれない。セリエBでのレンタル生活に終止符を打ち、より高いレベルのクラブでプレーするチャンスがもらえるかもしれない。そう考えれば燃えないはずはない。

 24日の南アフリカ戦では、ジュセッペ・スカーラのロングスローを長身FWアンドレア・ファヴィッリに合わせる形も見せてきた。個の能力はウルグアイほどでないものの、南米王者に勝るとも劣らない組織力を備えるイタリアは相手の嫌なところを突く能力もピカイチで、守備は今大会屈指の堅さを誇る。

 試合後のミックスゾーンで取材していると、イタリアやウルグアイの選手たちからは余裕すら感じられる。表情はリラックスし、自信に溢れている。彼女とテレビ電話しながらスタジアムを出てくる選手すらいるほどだ。

 彼らには2試合欠場が続いているフェデリコ・ディマルコの状態や、南アフリカ戦で負傷したニコロ・ヴァレッラの不在など不安要素があるにもかかわらず、気にするそぶりすら見せない。小川航基の負傷離脱でチームの根幹が揺らいでいる日本とは、試合中の精神状態に差が出てくるかもしれない。

 それでも日本にとっては決勝トーナメント進出に向けて勝たなければならない相手。ウルグアイ戦で経験したことを生かし、より老獪でしたたかなイタリアを倒さなければ、その先にある戦いの舞台は見えてこない。

(取材・文:舩木渉【水原】)

フットボールチャンネル編集部

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