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都内タクシー、なぜ初乗り410円・80円刻みに?

5/27(土) 7:47配信

NIKKEI STYLE

 今年1月30日に東京都内(23区・武蔵野市・三鷹市)のタクシーの初乗り運賃が730円から410円に下がり、加算運賃が90円刻みから80円刻みに切り替わった。初乗り運賃が手ごろな価格に低下したことから「ちょい乗り」需要が喚起できるなどと話題になったが、そもそもどうして「初乗り410円・80円刻み」という運賃体系に決まったのだろうか?
 背景を探ると、消費者のタクシー離れに歯止めをかけたいという業界の思惑や運賃に対する微妙な顧客心理が浮かび上がってきた。

■初乗り410円は上限、「公定幅」で380円なども

 まずタクシー運賃の仕組みを簡単に説明しよう。

 上の表は東京都内のタクシー運賃の新旧比較である。新旧ともに「上限」から「下限」まで幅があり、そこに10円ずつ違う「B運賃」「C運賃」を加えた4種類の料金から各事業者が自由に選ぶ仕組みになっている(これら4種類以外の運賃は都内で存在しない)。これを「公定幅運賃制」という。
 現状だと最も安い運賃で「初乗り380円・80円刻み」で運行しているタクシーも少数ながら存在するようだ。ただ、新旧いずれも「上限」を採用する事業者が圧倒的に多いため、便宜上、「初乗り730円・90円刻み」から「初乗り410円・80円刻み」に移行したなどと表現している。

■初乗りはNY・ロンドンより割高感、値下げでタクシー離れに歯止め

 ところで、なぜ初乗り運賃が下げられることになったのだろうか?
 これは国際的に見て、東京のタクシーの旧初乗り運賃に割高感があったためとされる。

 たとえばニューヨークやロンドンのタクシー運賃と比べてみよう(2015年2月27日時点)。上の画像の一覧表をみると東京の初乗り運賃の高さがかなり目立っていたことが分かる。初乗り運賃はニューヨークだと5分の1マイル(約320メートル)まで301円(2.5ドル)、ロンドンだと259.8メートルまで451円(2.4ポンド)。一方、東京は2キロまで730円と明らかに割高に感じる。
 ただ、東京のタクシー運賃に割高感があったのは初乗り区間だけ。
 約4キロ時点での運賃を比べると、東京1450円、ニューヨーク約1300円、ロンドン約1700円で東京だけが必ずしも高いというわけではない(画像の折れ線グラフを参照)。東京の初乗り距離が2キロと長かったのだ。
 業界からは様々な声が強まっていた。
 「2020年の東京五輪に向けて外国人観光客が増えているなか、初乗り運賃を国際基準に下げるべきだ」「車体に初乗り運賃が表示されているので、割高だというイメージを利用者が抱いてしまう」――。
 こうして初乗り運賃の引き下げが検討されるようになったというわけ。
 背景には「消費者のタクシー離れ」という切実な問題もある。東京都内タクシーにおける年間の実車距離、輸送回数はそれぞれ1989年、87年をピークに減少傾向が続き、業界の低迷が止まらない。これに歯止めをかけるためにも利用客を取り込む有効策が必要になったのだ。

 東京のタクシーがどのように利用されていたのを示す興味深い統計がある。

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最終更新:5/27(土) 7:47
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