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驚異の想像力が生み出した《バベルの塔》を見に行こう!

5/27(土) 12:01配信

Casa BRUTUS.com

ブリューゲル1世が描いた《バベルの塔》が24年ぶりに来日! 本物は小ぶりな画面に巨大な塔とたくさんの人やものがぎっしりと描かれています。見るたびに発見がある、名画の見どころを解説します。

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〈東京都美術館〉にて開催中の「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展 16世紀ネーデルラントの至宝 -ボスを超えて-」。ブリューゲルことピーテル・ブリューゲル1世は1526年か30年ごろに生まれ、1569年に没した画家。その生涯にはわからないことも多いが、アントワープやブリュッセルで活躍した。2人の息子も画家となっている。

《バベルの塔》は旧約聖書の物語。あるとき人々が天に届く塔を作ろうと考えた。それに怒った神は人々の言葉が互いに通じないようにしたため工事は中断、人々は散り散りになってしまった、という話だ。

ブリューゲル1世《バベルの塔》は印刷物でもよく見る有名な絵だ。が、実物を見ると意外に小さいのに驚く。縦横それぞれ約60センチ×75センチ程度しかないのだ。ブリューゲル最晩年の作である。

バベルの塔がどのような形だったか、旧約聖書には記述はないので画家はそれぞれ想像によって描くことになる。他の画家は四角い高層ビルのような形の塔なども描いているが、ブリューゲルの塔は丸い螺旋形。ローマのコロッセウムをヒントにしたとも言われている。ブリューゲルの絵は大きな注目を集め、後の画家にも影響を与えた。

今回出品されている《バベルの塔》には約1400人もの人が描かれているという。注目すべきはその工事風景だ。ブリューゲルは当時のネーデルラントで行われていた工事の様子を描き込んだと思われる。木で組んだ足場につけた大きな滑車で材料を持ち上げ、さらにはしごで上に持ち上げているようだ。

「塔の場所によって色が違うのは、産地の異なるレンガを使っているのでしょうか。塔の左側が白くなっているのは運び上げている漆喰がこぼれているのでしょう」と説明するのはこの絵を所蔵しているボイマンス美術館のシャーレル・エックス館長。普段は毎日のようにこの絵を見ているだけあって観察が細かい。

「《バベルの塔》は人間の傲慢さ、愚かさを表していると言われていますが、私はそうは思わないんです。高い塔の建設に挑戦する、人間の勇敢さを描いて答えのない問いを投げかけている。こうして現実とは違う架空の世界を描くことができるのがアートの素晴らしさだと思います」

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最終更新:5/27(土) 12:01
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