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ハイジュエリーと日本の工芸 ─2つの異なる“技”の競演が京都で花開く。

5/27(土) 13:00配信

Casa BRUTUS.com

世界的なハイジュエラー、ヴァン クリーフ&アーペルの宝飾品と、日本が誇る伝統的な工芸品。それらを生み出す“技”に着目した展覧会が、〈京都国立近代美術館〉で8月6日まで開催中。会場構成を手がけた建築家・藤本壮介のコメントを交えながら、見どころをご紹介。

1906年、パリのヴァンドーム広場で創業したヴァン クリーフ&アーペル。宝石を支える爪を表からは見せない「ミステリーセッティング」の開発など、独自のスタイルと優れた技術で、世界的に知られるハイジュエリーメゾンである。そんなメゾンが誇るアートピースを間近に見られる機会があるのをご存じだろうか? 年に一度、世界で一つの美術館でのみ開催される展覧会。それが今年、〈京都国立近代美術館〉で開かれているのだ。

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『技を極める - ヴァン クリーフ&アーペル ハイジュエリーと日本の工芸』と題された展覧会ではそのタイトル通り、ヴァン クリーフ&アーペルの宝飾品と、七宝や陶芸、漆芸、金工といった日本の工芸を同じ空間に展示することで、それらを作り出した日仏の職人技を対比。高い完成度や精緻な作り、圧倒的な美しさを通して、国や文化の違いを超えた、“極められた技”の共通性や親和性を見出す仕掛けになっている。

3つのセクション(展示室)とワークショップから成る会場のデザインは、藤本壮介が担当。国内外で数多くのプロジェクトを手がける若手建築家で、『二川幸夫・建築写真の原点 日本の民家一九五五展』(パナソニック 汐留ミュージアムほか)や『Future Beauty』展(東京都現代美術館ほか)など展覧会の会場構成にも精力的に携わっている。今回は、展覧会のオープニングに際して藤本にインタビューを敢行。現地リポートと合わせて、会場構成にまつわるコメントも紹介する。

まずは階段を上がって、第1展示室「ヴァン クリーフ&アーペルの歴史」へ。黒い壁に囲まれた空間の中央に、長さ18mもの長いカウンターが置かれている。その上に所狭しと並ぶのは、ジュエリーを収めた大小のアクリルボックス。1世紀以上に渡って作られてきたヴァン クリーフ&アーペルの作品約80点を時系列で展示することで、そのデザインや技術の変遷を概観できる仕組みだ。

国産ヒノキを使った展示台のイメージを「寿司屋のカウンター」と藤本は以前インタビューで話していたが、カウンター前で横一列になって真剣に観賞している人々を見ていると、確かにそんな気も…。通常、展覧会などでは見ることのできない裏側を含めて、ジュエリーを360度どこからでも眺められる試みも面白い。この仕掛けは、3つの展示室すべてで共通している。

「裏側を見せることは、かなり初期の段階に決まりました。ヴァン クリーフ&アーペルのジュエリーの美しさは、高い技術力によって支えられていて、彼らはそれをとても誇りに思っています。だからこそ、その粋が詰まった裏側を見せることも厭わない。ジュエリーにせよ、工芸にせよ、そんな強い力を持つ“本物”を展示する空間をデザインするにあたり、今回僕がもっとも気を使ったのは什器でした。必要だったのは“本物”を受け止められる高級感や存在感。第1展示室のケースにいたってはモックアップをいくつか作ってもらい、アクリルの厚みや固定の仕方、ビスの見え方などを検証しました。建築でいうところの“ディテール”をきちんと詰める必要性があったんです」

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最終更新:5/27(土) 13:00
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