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Wild Honey、Manceau、BMX Bandits……ソフト・ロックのテイスト感じる世界各地の新作5選

5/27(土) 10:00配信

リアルサウンド

 甘いメロディ、心地良いグルーヴ。そんなソフト・ロック・テイストを感じさせる新作を、今回は世界各地からピックアップ。まずはブラジルから。ドメニコ・ランセロッチは、ドラマー/作曲家/プロデューサーなど、様々な分野でブラジルのオルタナティブな音楽シーンを支えてきた縁の下の力持ち。そんな彼の6年振りの新作『オルガンス山脈』は、The High Llamasのショーン・オヘイガンを共同プロデューサーに迎えてロンドンとリオを行き来しながら制作された。ゲストにはモレーノ・ヴェローゾ、カシン、ペドロ・サーなど仲間達が集結。実験的なアプローチを取り入れながら、ポップに聴かせるセンスの良い音作りはさすがだ。そんななか、メロディメイカーとしての才能も発揮。ブラジリアン・テイスト溢れるメロウなナンバーは、ソフト・ロック meets ポスト・ロックといった味わいで、ポップス職人、ショーン・オヘイガンのサポートも光っている。

 そして、そのオヘイガンがスペインに呼ばれてアルバムに参加しているのが、ギレルモ・ファーレのソロ・ユニット、Wild Honeyの『Torres Blancas』だ。オヘイガンのほかには、アメリカ西海岸のバンド、Mastonが参加。国境を越えて60年代ポップスを愛する者達が集まった本作は、様々な楽器を持ち込み、スタジオワークを駆使しながら、美しいメロディとハーモニーを多彩なサウンドで彩っている。ギレルモの囁くような歌声とスペイン語の響きも心地良くて、The Sandpipersなど60年代のコーラス・グループに通じるエレガントさを感じさせたりも。そのカラフルなサウンドには、マニアックなこだわりが詰まっている。

 スペインの次はフランス。Manceauは、Tahiti 80のグザヴィエ・ボワイエとペドロ・ルスンドがプロデュースを手掛けたデビュー・アルバム『マンソーの人生賛歌(Life Trafic Jam)』で注目を集めた4人組バンド。それから5年の月日を経て完成した2ndアルバム『I Wanna』はセルフ・プロデュースで制作された。前作がリリースされた時、グザヴィエがManceauについて「プリンスのグルーヴとポール・マッカートニーのメロディをミックスさせたいと思っているやつらとは、いつだって友達になれる」とコメントしていたが、そんなポップさは本作でも変わらない。エレクトロな要素を融合した躍動感溢れるバンドサウンドを中心にして、爽やかなグルーヴにのってキャッチーなメロディが舞い上がる。この洗練された甘酸っぱさは、まさにフレンチタッチ。

 今度は大西洋を渡ってアメリカへ。USローファイ・シーンを代表するNYのインディーレーベル、<キャプチャード・トラックス>の人気バンドだったbeach fossils。新作『Somersault』は、バンドのフロントマン、ダスティン・ペイサーが運営するレーベル、<ベイオネット>に移籍しての第一弾だ。今回は、サックスやフルート、ストリングスなど生楽器の温かな音色がアクセントになっていて、初期のUKネオアコを思わせる翳りを帯びたギターサウンドに、うっすらと陽が射してきたような雰囲気。繊細なメロディはいつもながらだが、まどろむような心地良さはサイケデリックな浮遊感があって、彼らの新たな魅力を垣間見せてくれる。

 そして、最後はスコットランドのグラスゴーから、ベテランのBMX Banditsによる『BMX Bandits Forever』。ダグラス・T・スチュワートを中心に、作品ごとに参加メンバーが変わるBMX Bandits。今回は以前メンバーだったスチュアート・キッドが、一緒にDr Cosmo's Tape Labというユニットを組んでいるジョー・ケインを伴って参加。ダグラスの右腕となって曲作りに大きく関わっている。その結果、Dr Cosmo's Tape Labとダグラスの共通の嗜好、60年代ポップスへの愛情たっぷりなサウンドに仕上がっていて、The Beach Boys「Forever」、マルコス・ヴァーリ「Mais Do Que Valsta」など、カバーの選曲もナイス。アルバム全体を通じて、ダグラスがリスペクトするThe Beach Boysへのオマージュを感じさせる愛すべきアルバムだ。

 さて、次はどこの国へ?

村尾泰郎

最終更新:5/27(土) 10:00
リアルサウンド