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【U-20W杯で考える】野太い叫び声で沸くスタジアム 韓国の応援にパスサッカーは似合わない

5/27(土) 16:55配信

SOCCER DIGEST Web

旺盛な戦闘意欲は、観衆の声が引き出している部分は大きいはずだ。

 開幕から1週間が過ぎ、私は徐々に韓国の空気に馴染んできた。いちばんの変化は、声が大きくなったということだ。
 
 韓国では中年男3人が集まってしゃべっていると、ただの世間話だというのに騒乱が起こりそうな気配がある。そんなやかましい国を旅していると、こちらもボリュームを上げざるをえないのだ。
 バスやタクシーに乗るときも、ツバを飛ばしながら、ほとんどケンカ腰で行き先を叫んでいる。そうでもしないと伝わらないからだ。
 
 もしかすると韓国人の地声の太さは、サッカーのスタイルにも影響を及ぼしているかもしれない。そんなことを水原のスタジアムで、ふと思った。
 
 この夜、イングランドに0-1と敗れ、韓国はグループ首位の座を明け渡した。だが、その敢闘精神は素晴らしかった。
 肉体に勝るイングランドに押し込まれる場面が多かったが、韓国は勇敢に戦った。球際でも腰を引くことなく、前へ前へと強く踏み込む。
 
 5-3-2システムで戦ったこともあり、2トップは孤立気味だった。だが味方のフォローがない中でも、2トップは果敢に勝負を挑んだ。
 
 印象深いシーンがある。
 20分あたりだったか、右サイドにロングボールが蹴り込まれ、それを追いかけたFWチョ・ヨンウが屈強なイングランドDFともつれながら、勢い余って看板にぶつかった。
 
 この旺盛な戦闘意欲は、観衆の声が引き出している部分は大きいはずだ。なにしろ、ボールを奪う、パスがつながる、ドリブルで抜く、ファウルで倒れる――何かがあるたびにスタジアム中が韓国人の野太い叫び声で沸き立つのだ。
 これはもう、勝負するしかない。
 ちまちまパスをつなぐサッカーは、この応援には似合わない。やはり、粗削りでもガツンガツンと戦うゲームが韓国に似合っているのだ。
 
 イングランドに敗れはしたが、水原のファンは大満足したようだ。それはそうだ。若いイレブンは最後の最後まで勝負をあきらめず、イングランドの牙城を脅かしたからだ。
 
 終盤には、帰りの足を気にして早めに席を立った人もいた。だが彼らは帰るに帰れず、ゲート付近で鈴なりになってロスタイムの白熱の攻防を見つめていた。韓国はそれだけの試合をしたのだ。私も素直に、いいものを見せてもらったと思う。カムサハンミダ。
 
 さて、次は日本の出番。韓国のように勇猛果敢なプレーを見たいところだが、それは必要ないかもしれない。
 というのも引き分けなら総得点の差でイタリアに2位を譲ることになるが、勝点4の3位ならベスト16に進む可能性が高いからだ。
 このあたりは同日に行なわれるグループCの結果も含めて、戦い方を考えるべきだろう。若さに任せてイタリアにぶつかっていくことが、必ずしもいいとは限らない。これもまた、ひとつの経験だ。
 
 24か国からベスト16が勝ち残る大会はグループステージ最終戦で「談合」ができる。最終戦を遅く行なうグループが、明らかに有利。興覚めのするレギュレーションだ。
 
取材・文:熊崎 敬(スポーツライター)
 

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最終更新:5/27(土) 16:55
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