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嫁姑ご近所問題 人間どうしの「適正距離」って?

5/28(日) 17:00配信

文春オンライン

Q 義理の両親がお隣さん。週に何回ごはんを一緒にすればいい?

 北海道の田舎町で暮らす37歳です。アパート暮しから戸建ての家に住むことになりましたが、夫の両親がすぐ隣の家に住んでいます。3歳と1歳の子供もいるので適当に行き来すればいいやと思っていますが、週に何回くらいごはんを一緒すればいいのかな、とか、1度も顔を合わせない日があるのはまずいのかなとか、悩みが尽きません。友人に聞くと「距離感が難しいよね」と言われました。人間同士のちょうどいい適正距離ってどういうものなんでしょうか。(37歳・女性)

A 人間に備わっている高い能力のひとつ、それは「コミュニケーション」能力です

 結論から言えば、人間同士の適正な距離は固定された値ではなく、お互いの気持ちによるところが大きいとしか言いようがありません……。でも、家族を大切にすることは、人間として生きていく上で大切なことだと言えるでしょう。

 どんな動物でも基本的には血の繋がりのない個体に対しては、寛容な態度は取らないことが多く、場合によっては攻撃対象にすらなります。人間の場合も、やはり動物的本能として、赤の他人より、自分の血をわけた子供や親、兄弟のほうを大切に感じる性質は、もともと備わっていると考えられます。

 相談者さんにとっても、ご主人のご両親は、法的には義理の親子関係にあるとはいえ、生物学的には遺伝的な繋がりはないのですから、「赤の他人」であり、同じ空間にいっしょにいることには、やはり抵抗や違和感を感じてしまうのだろうと思います。

 一方で、人間には高いコミュニケーション能力があり、感情や考えを伝えることで、遺伝的な繋がりを超えた人間同士の絆を深め、文化的な人間社会を構築して生きてきました。家族は、人間社会の基本単位であり、家族のメンバー同士の助け合いと文化の継承によって、動物学的には脆弱で、いつでも他の動物の餌食になり得る人間という種は過酷な自然環境を乗り切り、今の繁栄に至ったと考えられます。

ちょっと文明論的に「家族」を考えてみますと……

 例えば、お子さんや、あるいは自分の身に何かあったときに、一番に頼りになるのは近くにいる家族です。もともと日本も複数の世代が同居する大家族で社会が構成され、助け合って生活をしてきました。それが現代になってから、都市部に人口が集中し、核家族化がすすみ、結果的に家族の支援が受けにくい環境が生み出され、少子化と高齢化、独居老人の問題にまで繋がっています。

 何かあった時に頼りになる家族がいる、という安心・安全は、必然的に家族に対する日頃からの気配りや気遣いという窮屈さも伴うことになります。もちろん、インフラも整い、自動車でどこでも気軽に行ける現代社会においては、個々人のプライバシーや自由な時間も重要度が増していることも事実です。

 さきにも書いた通り、人間はコミュニケーション能力によって、他人同士でも意思疎通を図ることができます。モヤモヤした感情を抱いたままで家族と付き合うよりも、まずはご主人のご両親ともお話をされて、相談者さまが悩んでいる距離の取り方について、家族同士で合意を形成される努力をしてみたら如何でしょうか? もちろんご主人にも一緒に考えて頂いて、家族全員で考え方や価値観を共有することが大事でしょう。

 今は若い自分もいつかは歳をとり、ご両親と同じ立場に立つであろうこともお忘れなく……。

五箇 公一

最終更新:5/28(日) 17:00
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