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「SXSW2017」で話題を集めたアメリカ流ゲリラプロモーションの極意

5/28(日) 7:30配信

@DIME

 テキサス州オースティンのダウンタウンで開催される国際フェスティバル「SXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)」は、膨大な数のカンファレンスと並行して、さまざまな企業ブースが出展されていますが、そのスタイルは通常の展示会とはだいぶ異なるスタイルになっています。ブランディングやプロモーション目的で、参加者が喜んで話題にしてくれる企画にするのが見せどころだったりします。

【写真】「SXSW2017」で話題を集めたアメリカ流ゲリラプロモーションの極意

 そのため大手企業のほとんどは、公式展示会場であるTRADE SHOW にはブースを出しません。会場内のオープンスペースか会議室、もしくは周辺エリアにあるイベントスペースやレストランやギャラリーを借りきって、独自の展示を行うのが通常です。

 会場内の目立つ場所を占めているのは Super Sponsorship 企業のブースで、今年はバドライトやマクドナルド、Mazuda USAなどが出展していました。ですがブースのサイズはそれほど大きくなく、ドリンクやTシャツを配ったり、会場内の行きたい場所へ送ってくれるオンデマンドタクシーサービス提供したり、あの手この手で参加者とエンゲージメントする方に力を入れてるケースが多いです。

 会議室に出展する企業は、自社製品やサービスをじっくり紹介し、認知してもらうのが狙いで、居心地のいいラウンジとバースタンドを設けて、ドリンクを楽しみながらゆったり過ごしてもらうことで、ブランドのイメージアップを狙います。他にもホテルのオープンスペースを利用してデモを行うところも今年は増えていました。

 会場周辺に出展する企業ブースは、サイズが大きく夜遅くまでオープンしているケースが多いです。SXSWは日中、カンファレンスプログラムがぎっしりなので、より多くの人に展示を見てもらいたい場合、会場の外に独自にブースを設置するという選択になります。地元の人たちもそうした状況をよくわかっていて、SXSW開催時期だけ店舗を貸すところがけっこうあるようです。

 常連のIBMのように去年と同じ場所に出展して来場してもらいやすくするパターンもあれば、ソニーとNTTが合同で出展していたJapan Factryのようにとにかくスケールの大きさで人を集めるケースもあり、そのあたりは企業によって戦略が分かれるところです。また、SXSWならではといえるのが、6thストリートというライブハウスが並ぶエリアに夕方から深夜(から早朝にかけて)出展するというパターンで、今年はナショナルジオグラフィックスやPandra、そして各国からの支援で出展しているところが多くみかけられました。

 会場の外で日中だけオープンしているところも、できるだけ入場者を増やすため、必ず無料のカフェやバー、軽食コーナーなど休憩スペースが設置されています。もともとオフィスがあるGoogle Fiber(全米で展開する常時接続サービス)も、SXSW期間中だけ展示を変えてドリンクや休憩スペースを提供していますが、SXSW公式で参加Sしつつも、オープンしているのは通常と同じ営業時間内だけだったりします。

 こうしたいろいろな展示パターンがあるSXSWですが、面白いのは非公式で展示を行っているブースもちらほら見かけることでしょうか。公式の場合、プレスリリースでSXSWに出展していることを明示でき、SXSWの公式サイトやアプリに情報を掲載してもらえるのですが、そのための登録費用が必要になります。そこで、予算に余裕がないスタートアップや企業の中には、SXSWの開催と”たまたま時期をあわせて近くでプロモーションする”という選択をするところもあります。といってもそれほどめずらしいわけではなく、大企業の一部門だけがそうした非公式で出展するというパターンは以前からあったりします。

 今年そのパターンで出展していたのが、上海発の自動運転自動車スタートアップ「NIO」です。同社は、世界最速の自律型自動運転EVスポーツカーで世界記録を持つ新進気鋭の自動車メーカーで、同社初となるラグジュアリータイプのコンセプトカー「Eve」のお披露目パーティを開催していました。といってもとても非公式とは思えないほどの内容で、アメリカ支社CEOのPadmasree Warrior氏をはじめ、カーデザイナーとエンジニアも来場し、まるで単独の記者発表会のような盛り上がりを見せていました。ちなみにMIO社は先日、スポーツカーのEP9でふたたび世界記録を更新したようです。

 もう一つ、非公式で見かけたのが、BOSCHが支援するスタートアップ Mayfield Robotics社が開発するパーソナルロボット「Kuri」のブースです。ブティックなどが並ぶビルの1階の一室を借りたこぢんまりとした展示で、窓に巨大なステッカーが貼られている以外に案内は無し。ドアを開けて入ると実機のデモや開発の変遷を紹介しているという、内容もシンプルなものだったりします。もちろんバッジ無しで誰でも入れるので、配っていたTシャツを目当てにやってきた一般客や観光客でいっぱいになっていました。

 通常の展示イベントに比べてなかなか大変に見えるSXSWへの出展ですが、イベントとしての注目度が上がっていることもあり、数はどんどん増えているのが現状です。どの企業も年々出展内容に力を入れるようになり、それがさらにイベント全体を盛り上げる相乗効果を生み出しています。

 カンファレンスのテーマにジャーナリズムがあることから、メディア関係者の参加は以前から多いのですが、今年はプレスルーム内に著名なメディアや出版社専用スペースを設けるなどして、発信のためのバックアップも行っています。

 こうしてSXSW人気が高まる一方で、出展社数が増えすぎて見たいところが回りきれず、夜のライブイベントは行列で会場内に入れないところが多々あり、高い参加費に見合う価値があるのか、という声も今年はよく耳にしました。こうした課題に果たしてSXSWはどう対応していくのか、今後の動きが気になるところです。

文/野々下 裕子

@DIME編集部

最終更新:5/28(日) 7:30
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