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トランプ大統領弾劾へ? クリントン氏のケースを振り返る

5/28(日) 12:32配信

オトナンサー

 2016年の米大統領選にロシアが関与したとされる疑惑「ロシアゲート」に絡み、トランプ米大統領が弾劾される可能性が浮上してきました。

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 同大統領が、弾劾の要件である「反逆罪、収賄罪、その他の重大な罪または軽罪(不品行)」に該当する行為を行ったかどうかは現時点で不明であり、弾劾云々を議論するのは時期尚早かもしれませんが、仮に弾劾されるとすれば、どのようなプロセスとなるのか、参考としてクリントン元大統領のケースを振り返っておきます。

上院が「有罪ではない」と認定した

 発端は、クリントン氏のアーカンソー州知事時代のセクハラに関する裁判でした。その過程で、1997年終盤に同氏と研修生との「不適切な関係」が疑惑として浮上しました。

1998年1月16日:クリントン夫妻が関係する不動産会社の不正(ホワイトウォーター事件)を1994年から捜査していたスター特別検察官(当時)が、クリントン氏の「不適切な関係」を捜査対象にすることについて、リノ司法長官(同)から承認を受ける。

1月17日:クリントン氏が、セクハラ裁判の宣誓供述において「不適切な関係」を否定。これが後に偽証罪に問われることになる。

8月17日:クリントン氏が大陪審で証言し「不適切な関係」を一部認める(ただし1月の裁判で提出した証拠は正確であると主張)。

9月9日:スター特別検察官が議会に報告書を提出、その中で弾劾に該当する可能性のある11の根拠を列挙する。

10月5日:下院司法委員会が、クリントン氏に対する弾劾の可能性を調査することを決定する。

10月8日:下院本会議が、同氏に対する弾劾手続きを開始することを決定する。

12月19日:下院本会議が「偽証」と「司法妨害」に関して同氏の弾劾を決定する。

1999年1月7日:上院本会議が同氏の弾劾裁判を開始する。

2月12日:上院本会議が「偽証」と「司法妨害」に関して「有罪ではない」と認定する。

トランプ大統領の場合は「政治の本質」

 クリントン氏の弾劾のケースでは、疑惑の浮上から弾劾裁判の決定まで1年以上かかり、そこから決着まで、さらに2カ月近くかかった計算です。弾劾プロセスとは、これほどの時間を要するものなのかもしれません。

 ところで、トランプ大統領が弾劾されると仮定すれば、そこでは「司法妨害」「権力濫用」、今後の展開次第では「偽証」などが問われることになるでしょう。それらはクリントン氏のケースと類似するものです(同氏も「権力濫用」を指摘されたが、下院本会議での弾劾決定時に不採用となった)。

 もっとも、両者の「事件」の本質は大きく異なります。クリントン氏のケースは、研修生との「不適切な関係」という個人の倫理に関するものであり、大統領の職務遂行に影響があったという証拠はありません。一方で、トランプ大統領が問われるとすれば、それは政治(選挙制度)あるいは外交の本質に関わるものとなるはずであり、極めて深刻な事態と言わざるを得ません。

 もう一つの違いは国民の支持です。弾劾裁判の決定後も、クリントン氏は7割前後の支持率を維持しており、辞職を求める声は3割程度だったそうです。上院での弾劾裁判は、一部の下院議員が検察役、全上院議員が陪審員となって進められます。そこでは、厳密に法を犯したかどうかではなく、極めて政治的な判断が求められるようです。その点がトランプ大統領にとってプラスになる、ということは考えにくいのかもしれません。

株式会社マネースクウェア・ジャパン チーフエコノミスト 西田明弘

最終更新:5/28(日) 12:32
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