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「AlphaGo」という“神”の引退と、人類最強の19歳が見せた涙の意味

5/28(日) 18:10配信

WIRED.jp

人類最強の棋士・柯潔(カ・ケツ)と囲碁AI「AlphaGo」の三番勝負は、AIの3連勝で幕を閉じた。完敗が決まった最終戦、19歳の柯はこれまでにない苦悶の表情を浮かべた。そして試合後の記者会見で、AIを開発するDeepMindはAlphaGoが囲碁を「引退」すると発表した。「囲碁の神」とまで言われたAlphaGoは、棋士そして人類に何をもたらすのか。現地からのレポート。

AlphaGoとの三番勝負の3局目、涙を拭った。

世界最強の囲碁棋士・柯潔(カ・ケツ)と、グーグル傘下のDeepMindが開発する人工知能(AI)「AlphaGo」による一連の対局は、2017年5月27日に柯が負けを喫して幕を閉じた。“フューチャーGOサミット”(Future of Go Summit)で5月23日、25日と行われた試合に続くこの結果により、柯の完全な敗北が決まった。

最後の試合、ぶどうやリンゴといった果物、チョコレート、クッキーを並べて対局に臨んだ柯は、これまでの2局より緊張しているように見えた。対局から2時間が過ぎたところでメガネを取り、手で顔を覆う。柯は苦悩しながら一手を打ち、そのまま席を立った。10分近い空白の時間のあと、席に戻った柯は涙を拭ってから次の一手を放つ。その後対局は1時間弱続き、柯は投了を宣言した。

18歳、人類最強

柯が囲碁を学び始めたのは2003年、5歳のときだ。アマチュア棋士として成功を収めてから、単身北京に渡った彼は11歳でプロに。その後、着実に成績を伸ばし、17歳で囲碁最高位九段を獲得する。2016年にはその後AlphaGoと戦うことになるイ・セドルに勝利し、3つの国際大会で優勝した最年少棋士となった。18歳にして、柯は人類最強の囲碁棋士という称号を背負うことになる。

輝かしい功績を誇る柯にとって、AlphaGoへの3回の敗北は辛いものだった。試合後の記者会見でも、その日の対局がどれだけ痛みのあるものだったか、そして恥じるべき自分のミスについて語った。さらに、最終戦前日の夜は眠れなかったこと、どんなテクニックを使えばAlphaGoに勝てるのだろうかと考えたと、自らの緊張を吐露した。

昨年のAlphaGoとイ・セドル戦の直後、柯は「自分なら勝てる」と豪語した。19歳で囲碁界の頂点に登り詰めた天才はファンから「柯潔大帝」と呼ばれ、その奔放さでも知られる。しかし、今回に関しては、柯の自らの実力への過信を責めることは難しい。世界最強の柯をして「囲碁の神」と言わしめるほどの圧倒的な進歩を、新しいAlphaGoが遂げていたからだ。

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最終更新:5/28(日) 18:10
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