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結果オーライの引き分けの中、イタリアを翻弄した堂安律はスゴかった

5/28(日) 17:40配信

webスポルティーバ

 サッカーはチームスポーツ。ひとりでプレーすることなどできない。まして20歳以下のチームである。あまりにひとりの選手ばかりにフォーカスするのもどうかとは思うが、この試合に関しては、彼を”特別扱い”しないわけにはいかないだろう。

【写真】世界相手に奮闘しているU-20日本代表

 それほど、MF堂安律はスゴかった。

 U-20W杯のグループリーグ第3戦、日本はイタリアと2-2で引き分けた。この結果、日本は1勝1敗1分けの勝ち点4でグループ3位に終わったが、各グループ3位のなかで成績上位の4カ国に入ることが確定したため、決勝トーナメント進出が決まった。

 この試合、勝てばもちろん、引き分けでも決勝トーナメントに進める可能性がかなり高くなる日本は、しかし、いきなり苦境に立たされていた。

 試合開始早々の3分、DFラインの背後を突かれ、あっという間に先制点を許すと、続く7分にもFKから失点。日本は瞬く間に2点の重荷を背負うことになった。

 だが、本人曰く、ここで「完全に火がついた」のが堂安だった。

 右MFの堂安は、ときに右サイドで、ときに中央の小さなスペースに潜り込んで、積極的にボールを受けてはさばき、まずは悪い流れを変えるべく、日本の攻撃にリズムをもたらした。

 ようやく落ち着きを取り戻した選手たちがテンポよくボールを動かせるようになると、堂安はそれを待っていたかのように、今度は少々強引にでも自らドリブルで仕掛け、イタリアゴールに迫った。

 ともすれば落胆の色が広がりかねないチームに生気を取り戻させたのは、間違いなく背番号7の鬼気迫るプレーだった。堂安が振り返る。

「2失点してから何とかチームを変えないと、と思った。自分がボールに触って、チームに喝を入れるというか、『オレはこんだけやってんねんぞ』って思わすためにも、厳しいところでも仕掛けにいったし、球際でも戦いにいった」

 そして迎えた22分。左サイドからMF遠藤渓太がDFラインの背後にクロスを送ると、その落下地点に敵味方を問わず、ただひとり走り込んでいたのが、堂安だった。

 ジャンプして伸ばした左足にわずかに触れたボールは、GKの股間を抜けてゴールに転がった。堂安は「あれはガンバでも求められているプレー。自分が(パスの出し手だけでなく)受け手にもならないといけないというのが課題だった」と言い、こう続ける。

「受け手になって(相手にとって)怖いところに入っていくということが実現できた。渓太がいいボールを蹴っていて、フィーリングがよさそうだったので、(パスが)来そうやなと思って走った結果。あれを続けていきたい」

 堂安自身、「だいぶ楽になった」と振り返ったように、すでに変わり始めていた試合の風向きは、このゴールを境にその変化が明確なものとなった。

 当然、イタリア守備陣も、誰が日本の攻撃の中心にいるのかは気づいていた。背番号7への対応がみるみる荒くなり、削られた堂安がピッチに転がるシーンが増えた。

 だが、堂安は手痛い洗礼も意に介さず、「楽しかった。ああやってバチバチ来てもらえたほうが、自分は火がつくんで」と、さらにギアアップ。堂安、MF市丸瑞希、DF初瀬亮の”ガンバトリオ”が右サイドで好連係を見せるなど、試合の主導権を握った日本は、後半開始早々の50分、ついに同点に追いつく。

 流れるようなドリブルから値千金の同点ゴールを決めたのは、またしても背番号7の左足だった。

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