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高橋大輔撮り下ろしインタビュー「実は、妄想癖があるんです」 [FRaU]

5/28(日) 20:00配信

講談社 JOSEISHI.NET

夢見がちな目をしていた。ステージでこそ、その輝きを発揮できる彼が、ステージを降り普通の部屋に佇んで、放出した “色気”。無数の熱視線に応えるのではなく、たった一つのレンズに向けられた視線は、あまりにも優しく、あまりにも気怠い。

好きな人ができたら? 仕事が二の次になります(笑)

妄想癖があるという。

「街を歩いているときも、“向こうからやってくる女性とすれ違いざまに肩をぶつけて、そしたら彼女のバッグの中身が地面に散らばる。『ごめんなさい』と言いながら手帳やハンカチや化粧ポーチを拾う手と手が重なって……” みたいにベタな妄想をすることはしょっちゅう(笑)。家にいるときも、こんな出会いがあったらな、なんて色々考えたりします。好きな人ができたら? あ、仕事が二の次になってしまうかもしれませんね(笑)。肉食っぽくガーッと突進して、でも突然キューっと冷めてしまったりする(笑)。スケートの練習の時もそうなんですけど、いい時と悪い時の波が激しくて。いい時はとことんのめり込めるのに、悪い時はすぐ、『これ以上やっても無駄だ』って自分に見切りをつけてしまうんです」

仕事仲間からすれば、彼が実際に恋愛するより、妄想でもしていてくれるほうが都合がいいらしい。「だから普段は妄想しまくってます」と言って、いたずらっぽく笑った。

採点競技であるフィギュアスケートのリンクに立つ前、彼はいつもこう思っていた。「この中で、誰よりも強く印象に残る存在でありたい」と。「失敗しないように」でも、「綺麗に踊ろう」でも、「高い得点が取りたい」でもなく、何でもいいから自分の演技を見た人の心に刻みつけたいと、そう願っていた。

「フィギュアスケーターを “アスリート” として捉えるなら、僕はかなり不真面目なほうだったと思います。選手時代は、練習をしていても、『今日は気分が乗らない』と思ったら、30分で切り上げたりしてましたから(苦笑)。よく言えば “アーティスト気質” というか、感情の起伏が激しいんです。でも表現者って、変に真面目過ぎても面白くないというか……。僕は、自分の演技が、観た人の中で “綺麗だな” で終わってしまうのを物足りなく感じてしまうんです。表現って、一癖二癖あるほうが人を引き付けるのかなと。採点競技でありながら、僕のこだわりは、点数で競うこととは違うところにあるので、もしかしたらバレエダンサーやミュージカルの演者さん、そういう方たちのメンタルに近いのかもしれません」

※フラウ2017年6月号より一部抜粋

PROFILE

高橋大輔 Daisuke Takahashi
1986年生まれ。岡山県倉敷市出身。2002年世界ジュニアスケート選手権優勝、2010年バンクーバー五輪銅メダル、同年世界選手権優勝など日本男子初、アジア人男子初の快挙を次々と成し遂げた。スケート靴を脱ぎ、一人のダンサーとして世界のトップダンサーと共演する「木下グループpresentsLOVE ON THE FLOOR2017」は6月16日から25日まで東急シアターオーブにて開催。