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安土城の謎を追え!プラモデルの街・静岡で生まれた注目の木製城郭模型

5/28(日) 17:10配信

@DIME

静岡ホビーショーで最も注目を浴びた出展は何か。

もしかしたらそれは、「城の模型」ではなかったか。

【写真】安土城の謎を追え!プラモデルの街・静岡で生まれた注目の木製城郭模型

静岡ホビーショーに登場する製品は、そのほとんどがプラスチック素材のものだ。なぜ「プラモデル」というものがあるかといえば、木製模型よりもプラスチック模型のほうが多様な加工ができると見なされていたからだ。金型を使って鋳造品のように製造するため、木材よりも量産が利いていた。

だが、今は状況が変わった。レーザー加工技術が発達したため、題材によっては木製模型のほうがよりリアルなものに仕上げられるのだ。
その代表格が、城郭模型である。

・安土城の天守

静岡県静岡市に本社を置くウッディジョーは、木製模型の分野では世界最先端の技術を有するメーカーである。

静岡ホビーショーでのウッディジョーのブースを見た人は、誰しも息を呑んだはずだ。ずらりと並んだ150分の1スケールの城郭模型を前に、多くの来場者が圧倒されていた。プラスチックでは絶対に実現不可能な重厚な佇まいが、木製の城郭模型にはある。

そしてその中で異彩を放っていたのは、安土城である。織田信長が情熱を注いだ、あの安土城だ。筒状の天守がより豪華さを際立たせている。

だが、安土城は画像史料がほとんど残っていない建造物ではなかったか。

「この模型を作る際、我々は他社と論争をしました」

そう語るのは、ウッディジョー代表取締役の常木則男氏。現存史料が極めて少ない安土城を再現する上で、やはり城郭模型を手がけている有名企業D社と議論を交わしたという。

「分冊出版で有名なD社は、安土城の模型も手がけています。ですがD社と我々の安土城はまったく別物。ほら、天守の下層部分をご覧なさい」

安土城の天守は二層構造で、下層部分は八角堂になっている。そしてその八角堂をぐるりと一周する回廊があるわけだが、D社の安土城天守は八角堂の側面に屋根の最上部が迫り出し、歩いて周回することができない。

・財力を誇示した信長

「つまりD社の安土城は、屋根が八角堂の回廊を二分しているのです。ですが、それはあり得ない。展望台というのは、全周の景色を見渡せるようにしなければなりません。そもそも安土城は、庶民に公開するための城ですからね」

常木氏の指摘は的確だ。信長は安土城を有料で公開した男だ。当然、見物客を天守に登らせるということもやっている。この当時、「景色を見渡せるほどの高い建物」は権力の象徴である。信長は天守を一般公開の展望台にすることで、無尽蔵の財力を誇示したのだ。

信長の敷いた政策に熟知していれば、謎に包まれた安土城の姿もおぼろげながら見えてくる。

信長という男は、そもそも戦争指揮官として見るなら飛び抜けて優秀というわけではない。そう書くと意外なように思われるかもしれないが、局地戦で信長を敗北させた大名は何人か存在する。上杉謙信にはまるで歯が立たなかったし、武田信玄との直接対決は徹底的に避けた。

だが、局地戦で被ったダメージを即座に回復できるほどの経済力を信長は手にしていた。彼の強みは、いくらでも資金が調達できる体制を構築していたことに尽きる。安土城の姿も、そのような視点から考察するべきなのだ。

・チャリティーも開催

ウッディジョーのブースでは、熊本城修復チャリティーも催された。

城郭愛好者にとって、去年の熊本地震は衝撃的な出来事だった。日本の城郭建築の中で最も優美と謳われた武者返しの石垣が、無残にも崩れ落ちてしまった。だがそれでも完全崩壊に至らなかったという点は、驚愕に値する。

いずれにせよ、熊本城修復にはこれから莫大な予算と長い年月が必要になる。しかも石垣の製造技術はロストテクノロジーのようなもので、これを完全再現することは不可能という識者の意見もあるほどだ。

だが、やらなければならない。美術的な価値も有する熊本城の歴史を、我々の代で終わらせるわけにはいかないのだ。

400年前に築かれた城は、今も我々現代人を大いに魅了している。

文/澤田真一

@DIME編集部

最終更新:5/28(日) 17:10
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