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香川、主役譲るも増す円熟味。有言実行でつかんだ出番とタイトル

5/28(日) 13:24配信

フットボールチャンネル

 ボルシア・ドルトムントは27日、DFBポカール決勝でフランクフルトに勝利した。先発フル出場の香川真司は、得点にこそ関与していない。だが、間違いなく優勝に関与した。(取材・文:本田千尋)

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●好発進も、タイトルへの道は険しく

 次の扉が開いた。2017年5月27日のDFBポカール決勝、ボルシア・ドルトムントはベルリンでアイントラハト・フランクフルトと戦った。荘厳なオリンピア・シュタディオンでの首都決戦。先制に成功したのは、3季連続で苦杯をなめた黒と黄色のチームだった。

 8分、右サイドを抜け出したウスマヌ・デンベレは、シュートフェイントでDFヘスス・バジェホをかわすと、左足で豪快に突き刺す。5年ぶりのタイトルに向かって、好発進のドルトムント。しかし黄金の優勝カップは、そう簡単には手に入らなかった。

 13日のアウクスブルク戦のように、マティアス・ギンターのワンボランチはどこか不安定だった。29分、ギンターはソクラティスの処理を傍観してしまう。ポジショニングにまごついた。すると後ろから勢いよく飛び出してきたミヤト・ガツィノビッチにボールを奪われ、ショートカウンターを食らう。そのままアンテ・レビッチに決められて、同点に追い付かれてしまう。39分には、ガツィノヴィッチとのワンツーで抜け出したセフェロヴィッチのシュートが、左のポストを直撃する。あわや逆転の場面だった。

 香川真司は左インサイドハーフで先発出場する。6日のホッフェンハイム戦の後で残した「簡単にベンチに座るつもりはない」という言葉に偽りはなかった。見事「ビッグゲーム」のスタメンに名を連ねたのだ。相手が格下とは言え、“有言実行”で自らのクオリティを改めて示すことになる。香川は、マンチェスター・ユナイテッドから復帰して3度目となる決勝の舞台で、攻守にバランスの取れたプレーを見せた。

 序盤は、ラファエル・ゲレイロとマルコ・ロイスとのコンビネーションで左サイドを攻め立てた。途中、最後尾まで戻って献身的に守備をこなせば、カウンターの起点にもなる。そしてワンボランチのギンターをサポート。前半の終わりにかけてはギンターとダブルボランチを組んだ。

 後半に入るとギンターはCBに下がる。今度は香川は、シュメルツァーと代わったカストロと中盤でコンビを組む。50分には左サイドで起点を作ってから、ペナルティエリア内に入って決定機を演出。60分が過ぎて敵の運動量が落ちてくると、ボランチのポジションで丁寧にパスを繋いでゲームを作った。

 さらに66分、左サイドのゲレイロに叩いて、エリア内にフリーラン。フランクフルトのDF陣を引きつけ、クリスチャン・プリシッチの突破+PK獲得をお膳立てした。このPKはエースFWのピエール=エメリク・オーバメヤンが冷静に決めて、ドルトムントが勝ち越し。このまま逃げ切って、トーマス・トゥヘル体制で初の栄冠に輝いた。

●香川は“宣言”していた

 リーグ戦で最後の大一番だったホッフェンハイム戦で、ベンチスタートとなった香川は、その試合後に“宣言”していた。

「ポカールの決勝は最後あるので、そういうビッグゲームで、今シーズンをいい形で終えられるように、頑張って、準備して、アピールしていきたいなと思います」

 そう語ったとおり、香川は「ビッグゲーム」で先発し、90分間フル出場し、チームの勝利に貢献した。確かにゴールやアシストといった目に見える結果はなかったかもしれない。しかしチームの弱味に応じた柔軟なポジションチェンジや、攻守における的確な判断、そして落ち着いたパス交換と、どこかベテランらしくタイトルの獲得に貢献した。今季最後の大舞台で、改めて選手としての価値をピッチの上に示した。

 それは、かつてマンチェスターに渡る前に見せていたような、若くイケイケだった頃とは違う姿かもしれない。しかし黒と黄色のファンたちにとっては、かつてのように“シンジ”であることに変わりはない。ドルトムントの勝利のために、香川は大切な選手であり続けている。

 そして“有言実行”で先発を飾り、改めてクオリティを示すあたり、この黄金色のポカールの獲得で、香川は円熟の域に入っていくのかもしれない。

(取材・文:本田千尋)

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