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【U20】堂安の躍動を引き出した2人との友情。“相棒”と“盟友”、ピッチ上で結実した思い

5/28(日) 15:54配信

フットボールチャンネル

 堂安律は、27日のU-20W杯グループステージ第3戦・イタリア戦に特別な思いを抱いて臨んでいた。ピッチ上では2ゴールの大活躍。U-20日本代表を敗戦の危機から救い、見事に決勝トーナメントへと導いた。この躍動の裏にあった決意とは、どんなものだったのだろうか。(取材・文:舩木渉【天安】)

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●メッセージのこもったパス。固い絆で結ばれた堂安と市丸

「相手に当たってました。けど、俺のゴールです(笑)」

 試合を終えて取材エリアに現れた堂安律は、清々しい表情でインタビューに応じた。

 それもそのはず。27日に行われたU-20W杯のグループステージ第3戦で、U-20日本代表はイタリアと2-2で引き分けた。序盤に2点を先行されながら、同点に追いつけたのは他でもない堂安の2ゴールがあったからこそ。

 3試合連続で相手に先制を許す展開で、窮地に立たされた日本はなんとか勝ち点1を積み上げてグループDの3位が確定。目標だった決勝トーナメント進出を果たした。

 特に堂安の2点目の場面では、会場がどよめきに包まれた。1-2で迎えた50分、ペナルティエリア手前で市丸瑞希からパスを受けた堂安はボールをコントロールしながらターンし、そのままドリブルを開始。相手DF3人を引きずりながらゴール前まで侵入し、同点弾をねじ込んだ。

「2点目は自分の特徴が出たところやし、市丸がパスをちょっと前に出してきたんで、『前向け』ってメッセージが込められてたと思うし、『ああ、そういうことか』と思ってドリブルしてました」と、堂安は笑顔でゴールを振り返る。

 記者席も「マラドーナか!」「いや、メッシだ!」と盛り上がっていた。とにかく誰が見てもスーパーな1点。日本にとっても決勝トーナメント行きを決定づける重要な1点になった。それを演出した市丸は、堂安へのパスにしっかりとメッセージを込めていた。

「どフリーやったし、(堂安)律やったら仕掛けて2人が相手でも全然抜けると思っていた。あそこで仕掛けずにバックパスされても全然怖くないから、『仕掛けろ』という意図をこめて出しました」

 堂安と市丸。年齢は後者の方が1つ上だが、2人はガンバ大阪の下部組織時代から長くプレーしてきた、いわば“相棒”的存在。互いの信頼も厚く、もはや言葉によるコミュニケーションを必要としないレベルの連携を築いている。試合中はお互いの位置を常に確認しながらプレーしているほどだ。

●無念の離脱。背番号9に届いた思い

 圧巻の2ゴールを決めた堂安は、仲間のもとへ走っていき、背番号9のユニフォームを天に掲げた。左ひざ前十字じん帯断裂と半月板損傷で途中離脱が決まったエースに捧げるゴールだった。「自分の中ではあいつのために戦った」と堂安は語る。

 U-20W杯の遠征中、宿泊するホテルで堂安は小川と同部屋だった。若き日本代表を引っ張ってきた2人は、そこでたくさんのことを語り合ったのだろう。イタリア戦の前に「自分が怪我をしていないので、簡単にあいつの分まで頑張るとは言えない。あいつの気持ちはあいつしか分からない」と話していた堂安の気持ちは、大きく変わっていた。

 ユニフォームを掲げたパフォーマンスについては「まあ、絵になるかなと思って(笑)」と冗談めかして話したが、「試合前にユニフォーム飾ってへんなと思って、水飲む時に『航基のユニフォーム取ってきて』と言っていた」と明かした。背番号9も共に戦う、その意識は強かった。

 イタリア戦を最後にチームを離れる小川は「本当に心の底から応援していましたし、なんとか勝ち上がって決勝トーナメントに行ってほしいと思っていました。ああやって自分のユニフォームを掲げてくれてすごく嬉しかったですし、(堂安)律が決めたというので、それもまた嬉しいです。やってくれるんじゃないかと思っていたので」と、“盟友”の活躍に笑顔を見せた。

 小川はチームが目標としていた結果を出せたことで、自分にもポジティブな影響があると強調する。「自分も前向きになれると思いますし、このチームが躍進してくれれば、あいつらが頑張っているから俺も頑張らなきゃいけないと思うので、本当の本当に頑張ってほしい」と、韓国で戦いを続ける仲間たちにエールを送った。

 堂安は「自分ができることはピッチで表現して、(小川を)ああやって勇気づけることやと思うんで、感動できるような試合はできたかな」と話していたが、その思いはエースにしっかりと届いていた。

●「あいつの分まで俺が点を獲る」。堂安の決意

 イタリア戦で堂安が見せたプレーには鬼気迫るものがあった。ハイライト映像に採用されるような場面には、必ずと言っていいほど背番号7が絡んでいる。

「前半の立ち上がりが悪すぎて、自分の中で正直焦ったところがあった。何とか自分が気持ちを見せるというか、『俺はやってんねんぞ』ってところを見せればチームが少し変わるかなと思ったんで、ムリなところでも多少仕掛けにいきましたし、そういうところは意識して、そこからプレーは変えました」

 右サイドでの仕掛けのみならず、中央よりに入って攻撃の組み立てに絡み、自らフィニッシュする。イタリア戦の堂安は、とにかく異次元のプレーを見せていた。結果グループステージ3試合で3ゴールを挙げ、ベネズエラのFWセルヒオ・コルドバ(4ゴール)に次ぐ得点ランキング2位タイにつけている。

「ここまでできるとは正直思っていなかったですけど、(小川)航基がいないんで、点を獲る選手が少しいないんで、あいつの分まで俺が点を獲るって思って今日はピッチに立った。得点を意識してやっていきたいです」

 前半に奪った1ゴール目も「自分に今までなかったプレー」で、大会の中で成長した姿を見せている。堂安は「夢中やったっすね。後半なんかは楽しくて仕方なかった。でもその中でも冷静やったし、球離れも速かったんで、あれがちょっと続けばいい」と、乗りに乗っている。

 “相棒”と“盟友”からのメッセージを受け取った日本の背番号7は、日々輝きを増している。堂安律という名前は、イタリア戦の2ゴールで世界に轟いただろう。決勝トーナメントではどんなプレーを見せてくれるだろうか。きっと我々の想像を超える歓喜を体感させてくれるはずだ。

(取材・文:舩木渉【天安】)

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