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【コラム】「カネ」で逮捕されたバルサ元会長は、ソシオを裏切ってクラブイメージを汚した…

5/28(日) 14:33配信

SOCCER DIGEST Web

カタルーニャ・メディアも「クラブ史上最悪の会長」と辛辣。

 5月23日の朝8時頃、バルセロナの元会長であるサンドロ・ロセイの自宅とオフィスに家宅捜索が入った。10時間後の18時過ぎにはパトカーに乗せられて自宅を後にし、バルセロナ市内の拘置所へと移送された。
 
 ロセイはブラジル代表の肖像権ビジネスを手がけた際に不法なコミッションを受け取り、1500万ユーロ(約18億円)にも上る不正収入をごまかすために、マネーロンダリングを行なった容疑がかけられている。
 
 FIFA第3代会長ジュール・リメの名をとり「オペレーション・リメ」と名付けられたこの捜査チームが結成されたきっかけは、2010年に発覚した「FIFAゲート」だ。この捜査に当たっていたFBIが、CBF(ブラジル・サッカー連盟)元会長のリカルド・テイシェイラの身辺を調査したところ、ロセイとテイシェイラの間で不審な金の動きが見つかったという。
 
 この件はバルサと直接には関係なく、会長を務めていた時期とも被ってはいないが、「バルサの元会長が逮捕」と世界中に報じられたため、クラブが被ったダメージは計り知れない。
 
 バルセロナ生まれのスポーツビジネスのエキスパートで、ナイキ社の幹部を務めた経験もあるロセイは、ジョアン・ラポルタ会長の右腕として2003年にバルサ副会長に就任。2010年から4年間に渡って会長も務めた。ナイキ社やカタール財団とのスポンサー契約、そしてロナウジーニョやネイマールの獲得など、自身のビジネスネットワークを生かしてバルサに多くの利益をもたらしてきた。
 
 しかし、それらの功績も全て今回の逮捕で台無しだ。マドリード系メディアはもちろん、これまで会長としての仕事ぶりに関しては好意的に報じてきたカタルーニャのマスコミまでもが、クラブのイメージに泥を塗ったこの一件を「クラブ史上最悪の会長」と辛辣に報じている。

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選挙公約はまったく守られていなかった…。

 ロセイが汚したのはクラブのイメージだけではない。
 
 2010年にバルサ会長選挙に出馬した際、ロセイは自身が経営するボーナス・スポーツ・マーケティング社を手放し、クラブ経営に専念することを公約の1つに挙げていた。
 
 しかし実際は、同社を買い取ったレバノン人経営者の友人(彼もロセイと共に逮捕された)は名前を貸しただけのダミーで、その後も実質的にはロセイが同社を経営し続けていたという。彼は自身を信じて投票してくれたソシオを欺いたわけだ。
 
「私はみなさんの期待を裏切らない」
 
 クラブ史上最多の得票数を獲得して第39代会長に就任した際に口にしたこの言葉も、今では皮肉にしか聞こえない。
 
 ロセイが牢獄で一夜を過ごした翌日、最高裁は脱税容疑で21か月の禁固刑を課されていたリオネル・メッシの上訴を棄却した。同日にはクリスチアーノ・ロナウドにも1500万ユーロにも上る脱税の疑いが浮上。スペインだけでなく、隣国フランスでもパリSGのアンヘル・ディ・マリアとハビエル・パストーレがやはり脱税容疑で家宅捜索を受けている。
 
 今や世界有数のスポーツエンターテイメント事業となったサッカーとお金は、切っても切れない関係になった。それは分かってはいるものの、これだけマネー絡みの違法行為が蔓延っている現状は、どうにかならないものだろうか。
 
文:工藤拓
 
【著者プロフィール】
1980年、東京都生まれ。桐光学園高、早稲田大学文学部卒。三浦知良に憧れて幼稚園からボールを蹴りはじめ、TVで欧州サッカー観戦三昧の日々を送った大学時代からフットボールライターを志す。その後EURO2004、W杯ドイツ大会の現地観戦を経て、2006年よりバルセロナへ移住。現在は様々な媒体に執筆している。

最終更新:5/28(日) 14:33
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