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島民と課題解決へ、離島で働く地域おこし協力隊

5/29(月) 14:05配信

オルタナ

少子高齢化や中心市街地の空洞化が他の地域よりも顕著に表れる離島。そこで島民と共に課題に向き合う「地域おこし協力隊」を取材した。彼/彼女らが地域に果たす役割を学び、これからの地域のありかたを考えた。(武蔵大学松本ゼミ支局=市川 仁菜・武蔵大学社会学部メディア社会学科3年)

自然豊かで農村風景が見られる一方、実用衛星打ち上げ基地があることから宇宙科学の最先端の島として知られる種子島。私たちは、種子島の北部に位置し、多くの出先機関が置かれ、島の政治・経済の中心を担う西之表市を訪れた。その西之表市で活動する「地域おこし協力隊」を取材した。

西之表市では2010年から協力隊を受け入れ、現在は12人の隊員が市内の校区にひとりずつ配属され3年という任期で様々な活動に取り組んでいる。具体的なミッションというものはなく、隊員が自身の経験やスキルを生かし自主的に地域課題に取り組むスタイルである。

西之表市北部の国上校区を担当する高井和道さんは、長野県出身で元新聞記者である。地方の地域おこしについて取材した経験から、自分自身が地域で貢献したいと思うようになり、地域おこし協力隊に応募したという。

種子島に訪れた人は西之表港から宇宙センターを目指し、南へと流れてしまう。北部にも観光客が足を運んでほしいという島民の思いから「北部観光」を掲げ、西之表市北部の見どころを記者の経験を生かし写真や動画で地域の魅力をSNSで発信している。区の行事を撮影しプロジェクターで放映するなどもしている。

「SNSでは画像や動画を見てくれた人から反応があり、それをシェアしてくれるが、まだまだPR不足なのが課題。これから地域おこし協力隊のHPなどでもっと魅力を発信できたらいいですね」と高井さんは語る。

小原宙子さんは種子島の東海岸沿いに位置する立山校区を担当する。小原さんの活動は、校区の役員や農家の事務的なサポートから地域の高齢者を支えるサロン活動、郷土芸能である「おつや口説き」の保存活動などもしている。

「地域おこし協力隊は市役所に籍を置いてあるため、教育委員会や社会支援課、経済観光課に何かサポートしてもらいたいときに市役所がまとめてくれる。市役所は各所に連携をとってくれる窓口のような機能をもつ」と話す。協力隊は、市役所の機能を生かし連携して地域活動を行う。

その一環として、昨年、教育委員会とともに、子どもたちを集め、島の郷土遊びを通じて島の自然や文化を学ぶ「ふるさとまなび~隊」という活動を行った。「島のこどもたちは高校までは島にいるが、その先は島から出ていってしまう。だから、島のおじいちゃんやおばあちゃんと交流しながら、自然や文化に触れた体験を島外に出たときに伝えられる種子島の代表になってほしい」と話す。

現在行っている活動から、未来のビジョンを見据える協力隊員もいる。住吉校区担当の青山光徳さんは社会性のあるマーケティングのキャリアを生かし、都市部から人材を呼ぶ事業を開発する試みをしている。

地域でビジネスを立ち上げたい人や離島で移住を希望する人を対象に都市部でセミナーを開催したいと話す。このセミナーでは、種子島の事業者や行政機関関係者、島外から人材を採用したい企業を集める。セミナー受講者に短期インターンとして、種子島を訪れてもらい、島内の課題を見つけ、自分でその課題を解決するビジネスをプランニングする。青山さんは「種子島をモデルとして都市部から人を呼ぶビジネスの組み立てをほかの離島でもやっていきたい」と話す。

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最終更新:6/1(木) 12:41
オルタナ

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