ここから本文です

紙芝居で「定点観測」を表現! ある家で続く惨劇の記録!『世界の闇図鑑』第9話「不幸を呼ぶ呪いの箱」レビュー

5/29(月) 22:00配信

おたぽる

「この世には、触れてはいけない物体がある。邪悪な呪いを封じ込めているからだ――」

 井口昇監督が手がける紙芝居アニメ『世界の闇図鑑』(テレビ東京ほか)第9話は、斉藤工のそんなナレーションで始まる。さっそく物語を紹介しよう。

 1977年春。建築士のダニエル夫妻がこの屋敷に引っ越してきた。

夫「おや、この箱はなんだろう。前の住人が置いていったのかな」
妻「あら、何か音が聞こえてくるわ」

 箱からはオルゴールの音が聞こえていた。夫婦が箱に触れると、音が徐々に高まっていった。
 そして2カ月もしないうちに、夫妻は忍び込んだ強盗に刺殺された。
 それから3年後の1980年、弁護士のスコット夫妻が不動産屋とともにやってきた。箱に気づく夫。

夫「この家に決めた! こんな骨董品が残っているのがいいよ!」
妻「そうね」

 近隣住人の証言によると、オルゴールの音は毎日聞こえていたという。そしてある日、家から銃声が鳴り響いた!
 いざこざが原因で夫が妻を射殺し、自殺したのだった。


 この辺りでおそらく視聴者全員が気付いたと思われるが、今回は「紙芝居なのに背景(家の一室)が1パターンのみで変わらない」「動いているのは人物だけ」という趣向が凝らされている。絵面としては「部屋に置かれた固定カメラの長回し」そのもの。ある家で次々に起こる惨劇、という物語を伝えるのには最適の手法というわけだ。お見事!

 そして背景と同じくずーっと変わらないのが、画面手前に置かれた黒い箱。オルゴールの音がするがオルゴールではないらしく、惨劇を引き起こす何かが潜んでいるらしいが……内容紹介に戻ろう。
 

 1983年、ジョン夫妻と一人娘のカレンが引っ越してきた。

カレン「この箱、面白いよ、オルゴールの音と人の声が聞こえる!」

 その数日後、カレンはおかしくなった。暴れ回って奇妙な声でわめき、顔も醜く歪んでいる。
 両親に呼ばれた霊能師は、彼女を見るなりこう言った。

霊能師「娘さんは邪悪な存在に取り憑かれています。助かるには箱を燃やすしかない!」

 箱を燃やそうとする霊能師。だが風もないのに服に火が燃え移り、彼はあっという間に焼死した。無残な死を遂げた霊能師を前に、カレンは別人のような声で囁く。

カレン「パパもママもいらっしゃい、死の世界に……!」

 カレンの口からエクトプラズムが溢れ出た。エクトプラズムに触れた両親は魂を奪われてしまった。


 ――そして、箱だけが残った。
 どうやらこの箱は見ただけでも闇の世界に引きずり込まれるらしい…これを見ているあなたも! おしまい。


 箱が画面手前から動かないのは「視聴者を巻き込むため」というオチ。素晴らしい。序盤は『悪魔の棲む家』、終盤は『エクソシスト』と往年の映画を彷彿とさせる内容で、オルゴールの音もあいまって終始不気味な雰囲気が漂っている。エクトプラズムという20世紀の心霊ワードもグッと来る。

 ここへ来てまた新たな試みに挑戦している本作。次はどうなる? もう紙芝居とかアニメとか以前に普通に次回が楽しみです!
(文/JUP-ON STUDIO)

最終更新:5/29(月) 22:00
おたぽる