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【U20】日本、ベネズエラの“ファンタスティック4”を撃退せよ。8強進出へ、その対応策は?【識者の眼】

5/29(月) 11:45配信

フットボールチャンネル

 韓国で開催されている2017 U-20 FIFA W杯に参加しているU-20日本代表。グループ3位でのグループステージ突破を決め、ラウンド16で対戦するのはベネズエラ。南米ではサッカー最弱国とも見られていたが、近年は育成に力を入れており、今大会に送り込まれたチームは大会屈指の実力を備えている。なかでも強烈な破壊力を持つ前線の4選手には最大限の警戒が必要だ。(取材・文:河治良幸)

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●言わずと知れた野球大国。サッカーでは南米最弱と見られていたが…

 欧州の強豪イタリアと2-2で引分け、D組の3位でグループリーグ突破を決めたU-20日本代表。内山篤監督は「決勝トーナメントでまた新しいステージというか、景色を見られる」と語る。その第一関門となるベスト16で対戦相手となるのは南米のベネズエラだ。

 ベネズエラといえばMLBに多くの有力選手を送り込む野球大国として知られる一方でサッカーは長らく南米最弱国とも見られ、W杯の出場は一度も無い。しかし、ここ数年は本腰を入れてサッカーの強化に取り組んでおり、A代表でも2011年コパ・アメリカで4位、昨年のコパ・アメリカ・センテナリオでベスト8に進出した。

 そしてベネズエラ・サッカーの進化を象徴するのが今回のU-20代表チームであり、元ベネズエラ代表GKでもあるA代表のラファエル・ドゥダメル監督が兼任していることからも、力の入れ様が分かる。組織的にオーガナイズされたディフェンスとは対照的に、オフェンスは前線の個性をあますところなく発揮するスタイルであり、それを裏付けるタレント力を誇る。

[4-2-3-1]の1トップに張るロナルド・ペーニャと2列目に並ぶセルヒオ・コルドバ、ジェフェルソン・ソテルド、アダルベルト・ペニャランダの3人は固定的にスタメン起用され、個人技とイマジネーションに溢れる攻撃を披露。3試合で記録した10得点のうち8得点にゴールかアシストで絡んでいる。言わば“ロス・クアトロ・ファンタスティコ(ファンタスティック・フォー)”だ。

●リーガ1部で売出し中の選手も。強烈な個性備えるアタッカー陣

 1トップのペーニャはスペインのラス・パルマスに所属する売り出し中の長身ストライカー。強い上にしなやかさがあり、最前線でも悠々とボールをキープできる。そして何と言っても特長はゴールに向かう迫力だ。セカンドボールから相手DFを鮮やかに突破し、GKをかわして決めたドイツ戦の先制ゴールは能力の高さを物語る。左右の足を柔軟に使いこなせることも強みだ。

 日本はCBの冨安健洋と中山雄太がこの1トップをチェックすることになるはずだが、2人がかりでキープされると周りのスペースで2列目の選手に前を向かせてしまうことになるため、基本的に1人がタイトに付き、もう1人はカバーリングとスペースのケアに意識を割くべきだ。ただ、単独での突破力もあるため、常に厳しいマッチアップを要求されそうだ。

 右ウィングのコルドバは大会前の時点で、4人の中では最も注目度が低かったかもしれないが、ここまで4ゴールをあげており、得点王ランキングのトップに立っている。188cmの体格を生かした豪快な突破と強烈なシュートが猛威を振るう一方で、メキシコ戦のゴールの様な裏に飛び出して流し込むフィニッシュもある。

 彼とサイドで対峙するのは左SBの舩木翔か杉岡大暉になるが、ゴール方向に進出してくるため、左CBの中山が直接対応するシーンも多くなるだろう。推進力がある上に、側面からのチャージにびくともしないどころか、ショルダーで相手を転倒させるほどのパワーがあるため、うかつなチャージはせずしつこく付き切る意識が重要になる。

 10番でトップ下を担うソテルドはA代表の経験者。身長が158cmと登録選手の最小クラスだが、テクニックとスピードに加えてパワーも兼ね備える万能型のアタッカーだ。

 神出鬼没のポジショニングから、ボールを持てば相手ディフェンスの合間を目掛けてドリブルを敢行する。しかも、体格の割に少々のことでは倒れない強さがあり、倒されたとしても大体相手のファウルで直接FKのチャンスを獲得することになる。

 仮にボールを奪われてもすぐ切り替えて奪い返しにいくなど、ファイティングスピリットの塊だ。ここまで1アシストを記録したのみだが、存在感は攻撃陣で最も高い。スタンドの韓国人ファンからも大きな拍手や歓声を浴びており、すっかり人気者になっている。基本的にボランチの2人が見ることになるが、ワイドに流れて左右のウィングに絡むこともあるため、全体でうまく受け渡しながらトップスピードに乗せない様にしたい。

●A代表でも主力に。“ファンタスティック4”のリーダー格

 左ウィングのペニャランダはスペインのマラガで今季のリーガ3試合に出場。“ファンタスティック・フォー”のリーダー格で、A代表でも主力に定着しつつあるスペシャルなタレントだ。金髪の風貌そのままに、“逆足”ポジションの左サイドから破天荒な仕掛けで縦横無尽に敵陣を切り裂く。

 ここまで1得点3アシスト。恵まれた体格を生かした豪快な個の突破力に加えて、ワンツーなどの小技も織り交ぜるスタイルであり、相手DFは明確なつかみ所を見出しにくい。左足のクロスと右足のスルーパスを臨機応変に繰り出してくるのも厄介だ。しかも、もともとの本職は1トップであり、オフザボールでペナルティエリア内に入り込めばペーニャにも匹敵する競り合いの強さを発揮する。

 この危険なアタッカーに初瀬亮が付くのか、よりディフェンスに定評のある藤谷壮が付くのか。どちらにしても右CBの冨安やボランチと協力して自由を奪うことを心がけたい。また崩し切らなくてもコースがあればミドルシュートを狙ってくる選手でもあるため、GKの小島亨介にも高い集中力が求められる。

 個性的でしかも流動的に絡んでくる“ファンタスティック・フォー”を止めるには、守備陣が密に連携しながら、1対1で粘り強く対応することが失点を防ぐ防波堤になる。彼らを恐れてズルズルとラインを下げるのは命取りになりかねない。基本コンセプトである高い位置からのプレスをベースに、柔軟な判断と素早い決断で切り抜けたい。

 ベネズエラという国のイメージから想像しにくいが、16ヶ国の中でも上位に入る実力を持っていることは疑いない。決勝トーナメントでこのチームと対戦することは日本の選手にさらなる経験を与えるはずだが、ベスト8ではもっと高い景色を見ることができる。この強敵に対して勇敢に、したたかに、そして貪欲に勝利をつかみ取ることを期待する。

(取材・文:河治良幸)

フットボールチャンネル編集部

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