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【U20】日韓の決勝T進出で思わぬ効果。日本を応援する韓国ファン、好感度もアップ

5/29(月) 15:10配信

フットボールチャンネル

 日本と韓国。アジアにおける因縁のライバル同士である2つの国は、韓国で開催中のU-20W杯でともに決勝トーナメント進出を果たした。開幕前は国内での関心の低さが指摘されていたものの、韓国の戦いぶりや、日本の奮闘で状況は変わってきている。特にU-20日本代表の活躍は、これまで“反日”と言われてきた韓国国民に変化をもたらしつつあるかもしれない。(取材・文:キム・ドンヒョン)

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●日韓両国が決勝T進出。U-20W杯への関心も高まる

 2017 FIFA U-20W杯の決勝トーナメント1回戦の対戦カードがすべて決まった。グループステージが終わり、一発勝負の第2ラウンドが幕を開ける。

 読者の皆さんもご存知の通り、韓国と日本はベスト16へと駒を進めた。日本はグループステージ最終戦のイタリア戦で、堂安律が衝撃的な2ゴールを決めてグループDの3位に。決勝トーナメント1回戦はグループBを全勝で突破したベネズエラとの対戦となった。

 一方、ホスト国である韓国はギニア(3-0)とアルゼンチン(2-1)を次々と撃破したものの、最終戦でイングランドに0-1で敗れ、2位が確定。グループCで2位のポルトガルとベスト8進出を争うことになっている。

 今では日韓両国が決勝トーナメントに進んだが、実は開幕前までU-20W杯への関心は決して大きくなかった。この大会が開かれていること自体を知らない人もいるほどだ。20~30代の女性などは特にその傾向が強く、いくらイ・スンウやペク・スンホが世界的強豪のバルセロナでプレーしているといっても、彼らの顔すら知らない人は多かった。

 もちろん普段からサッカーに親しんでいないのであれば、妥当な話かもしれない。しかし、国内で開催される国際レベルの大会のホストとして、自国の選手さえ知らない人がいるというのは虚しい。U-20W杯組織委員会の副委員長を務める韓国サッカー界のレジェンド、チャ・ブングン氏がラジオ番組に出演し、「もっと関心を持ってください」と直接広報に出たほど大会への関心が低かったことを考えると、多少の寂しさをおぼえてしまう。

 そういった意味で韓国のグループリーグ突破は、この大会がブームアップするための最低条件だったといえる。もちろん3戦全勝であればより多くのメディア露出も期待されたはずだが、グループ2位でも十分な実績だ。

●日本対イタリアの驚くべき観客数

 最近では毎日U-20代表に関する報道が流れる環境になり、ようやく「トーナメントムード」になってきた。イ・スンウへの期待は日に日に高まっており、大会で最高の活躍をしているGKのソン・ブングンも日刊紙から取り上げられるほどの人気者となりつつある。ポジティブな流れだ。

 ここでまた面白いのは日本の存在だ。因縁のライバルということもあり、U-20W杯における日本の成績は韓国国内でかなり興味深く取り上げられている。一部のメディアは日本の選手を酷評したり、敵対心を露わにしたりするのも事実だが、基本的に関心があることは間違いない。

 実はそんな韓国でも日本のベスト16進出で、ある「変化の兆し」が見えていた。

 筆者は日本対イタリアの試合を観客席で見ていた。第1試合がグループCのコスタリカ対ザンビアで、第2試合が日本対イタリアだった。しかも場所は今大会の会場の中で最も小さい天安のスタジアム。普通に考えれば多くの観客が入らなくて当然の場所だ。

 しかしこの日、日本対イタリアの観客は1万人を超えた。私が取材に行った日本の試合で、初めて1万人を超えたのだ。土曜日ということもあって日本人の観客も多く来ていたが、韓国人も今まで以上に多かった。第1試合のコスタリカ対ザンビアの観客が4000人強だったことを考えると、日本戦に向けて2倍以上も動員数が増えたことになる。

●韓国国民にあらわれた変化。日韓の活躍が大会を支えるか

 単純な数値だけでない。観客席のあらゆるところで日本への関心があらわれた。第1試合が終わった直後、ちょうど日本の選手たちがウォーミングアップに出た頃だった。筆者が客席で日本語と韓国語を同時に使って話していると、周りにいた数名の韓国人観客が「久保建英とは誰ですか?」「今日は先発で出ますか?」と声をかけてきた。

 それに答えると、彼らは「あの小さい子が天才なんだね」「かわいい」などと話し始めた。ザンビアの試合を見にきたという韓国人の観客たちは「日本の試合を見たかった」と話し、会場から去っていった。

 試合中にも日本への好感は続いた。イタリアが2点を先制し、日本が追いかける展開になると、観客席で「日本、ファイト!」と誰かが叫んだ。あからさまに“応援”とまではいかなくとも、韓国人の口からそういった言葉を聞くのは珍しい光景だった。

 韓国でも確かに日本の記事はたくさん出ている。筆者も韓国メディア所属として堂安や久保の記事を書くことが多い。しかしその反響が、元々サッカーが好きな人たちではなく、サッカーにそれほど関心のない人たちから返ってくるのは実に興味深いことであった。

 そして同時に間違いなく韓国と日本がU-20W杯のブームアップをけん引しているという考えに確信が持てるようになった。筆者としては素直に日韓の活躍を祈るのみだが、両国がトーナメントを勝ち抜いていくことは大会主催者側としても切実な願いかもしれない。

 日本の活躍をもっと見たい韓国人が増えている、この変化はうれしい。U-20W杯のブームアップや日本への好感度アップ。この2つの意義のためにも、日本には最後まで勝ち残って欲しい。

(取材・文:キム・ドンヒョン)

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