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北朝鮮有事に際して「投資」はどうすべきか?

5/29(月) 9:10配信

HARBOR BUSINESS Online

緊迫する北朝鮮情勢は落ち着いたかにも見えたが、軍事衝突の可能性は消えてはいない。歴史を紐解けば、有事は常に投資チャンスだ。今後の投資戦略について緊急リポートする。

◆今夏に軍事衝突する可能性は6割超!?

 的確な相場観で個人投資家に数多くのファンを持つ金融経済アナリストの春山昇華氏が、4月6日にフェイスブック上で突然「資産の100%現金化」を報告した。それまでは積極的な株式投資を続けてきた同氏の突然の離脱宣言に、1万2000人を超えるフォロワーは一時騒然。春山氏は当時をこう振り返る。

「現金化の理由は『北朝鮮有事』のリスク回避です。私は株を売っただけですが、友人のなかには、日本を脱出する人もいました」

◆大統領の「先制攻撃」議会の事前承認は不要

 その直後から金融市場はリスク回避ムード一色で、3月には115円台に達したドル円は一時108円台にまで急落した。5月に入り相場は回復基調にあるものの、北朝鮮は新型とみられるミサイルを発射し威嚇を続けている。世界経済に詳しい楽天証券執行役員の土居雅紹氏は、「6~8月の間に軍事紛争が起こる可能性は6割を超えるのでは?」と予想する。

「’15年末からの利上げでアメリカの景気が今年中にも腰折れしてくる可能性があります。トランプ大統領は選挙で掲げた公共投資や減税でテコ入れしたいところでしょうが、ロシアゲート疑惑も出てきて議会が法案をすんなり通すとは考えにくい。だったら、大統領の独断で可能なことを実行してくると考えられます」

 大統領の権限でできる「景気対策」が、何を隠そう軍事行動なのである。「大統領、米軍上層部の立場に立てば、おのずと選択肢は絞られる」と土居氏は指摘する。

「北朝鮮が開発中といわれる大陸間弾道ミサイル(ICBM)はアメリカ本土に到達が可能で、完成間近といわれています。トランプ氏にしてみれば、“本土攻撃を許した大統領”という汚名を残すことだけは避けたいはず。それにはミサイルの完成前にその芽を摘んでおくしかない」

◆「開戦」のXデーは6~8月が濃厚!?

 アメリカが先制攻撃に踏み切るとしたら、そのXデーは6月から8月が濃厚だという。

「横須賀を母港とする原子力空母ロナルド・レーガンは例年1月から5月ごろまで点検・整備で活動を停止します。加えて、夏にはテロや戦争が起こりやすいというアノマリーもある」(土居氏)

 当のロナルド・レーガンは4か月にわたる点検整備と試験航行を終え、横須賀基地に戻ってきたばかりだ。新しい任務に出る準備は、いよいよ整ったと考えられる。

 予測どおりの軍事紛争となれば、投資家としてどう立ち回ればよいのか。土居氏は儲けのチャンスはアメリカ株投資にあると説く。

「『遠くの戦争は買い』という相場の格言もありますが、さまざまな物資が総動員される戦争は“究極の消費”ともいえ、あらゆる業種にメリットがある。実際、朝鮮戦争や湾岸戦争など過去の紛争時のパフォーマンスは平時の平均を上回っています」

 また「有事の金」ともいわれるように、テロや戦争で政情が不安定になる局面では金が買われる傾向があり、金投資も有望という。

 ただし、アメリカ株も金も、ドルを基準に取引される金融商品だ。戦争のリスクが高まる局面では急激な円高が進む可能性があるので、ドル建ての価格が上昇しても、円に換算するとマイナスという事態もあり得る。このため、有事シナリオでは日本の投信やETFなどではなく、証券会社に外国株口座を開設し、ドル建てでアメリカ株や金に投資するのが重要だ。

「まずはドル建てで上昇の恩恵を受けて利益確定しておき、円に戻すのは円安局面を待つのがポイント」(土居氏)

 個別株も悪くはないが、アメリカで上場されるETFなら銘柄選びの手間も省け、株式市場全体の上昇に乗ることが可能だ。

◆核放棄シナリオなら日米の株が上昇

 とはいえ、困窮した北朝鮮が核放棄に応じることもありえる。土居氏はその場合でも、やっぱり買いはアメリカ株だという。

「平和的解決に導いた大統領の支持率は急上昇し、法人税減税やインフラ投資の法案はあっさり成立する。そうなればアメリカの株価はさらに上昇します」

 そして第三のシナリオが、当面の軍事衝突は回避されるが問題は先送りされるというパターンだ。この場合のアメリカ株は利上げの影響を強く受けて下落するが、実現可能性としては最も低いという。結論としては、1と2のシナリオに共通するアメリカ株に乗るのが賢い選択といえそうだ。

 一方、一時は全資産を現金化した春山氏だが、4月末までにアメリカ株を買い戻し「平常運転」に戻っている。

「中国が北朝鮮への経済制裁に動いたことと、ティラーソン国務長官が『北朝鮮が非核化すれば体制変更までは求めない』と発言したことで、当面の武力衝突はないと判断しました。アメリカの企業業績は好調で、株価はすでに大統領への失望も織り込み済みです」

 雇用情勢が好調なことから、消費関連とITセクターが特に有望だという。

「なかでもグーグル、マイクロソフト、スターバックスは値動きも安定しており、初心者でも投資しやすい銘柄です」(春山氏)

 軍事衝突が濃厚と予想する土居氏と、危機は遠のいたと見る春山氏。北朝鮮情勢について正反対の見解を持つ資産運用の賢人2人が、くしくも「アメリカ株買い」という同じ結論に到達した。これはもう、乗るしかないビッグウエーブなのかも!?

◆土居氏の予想シナリオ

・シナリオA(確率60~70%)

6~8月に軍事紛争

米株上昇、金(ドル建て)上昇、ドル安円高、日本株下落

・シナリオB(確率15~20%)

北朝鮮が核放棄

トランプ支持率上昇、法人税減税案成立、米株上昇、ドル高円安、日本株上昇

・シナリオC(確率10%以下)

軍事衝突なし

FOMCが利上げ、米国株下落、ドル安円高、日本株下落

◆米ドル建てETFに投資せよ!

【SPDR S&P 500 ETF】

基準価格:$240.30

トータルリターン:1年・17.75%、3年・10.35%

純資産:$2304億

主な販売会社:楽天証券、SBI証券、マネックス証券

ニューヨーク証券取引所とNASDAQに上場する銘柄から、代表的な500銘柄の株価を指数化した「S&P500」に連動するETF。これ一本を買っておけば、アップルやマイクロソフト、アマゾン、アルファベット(グーグル)など、アメリカの名だたる企業の株に広く分散投資できるのも魅力的だ

【SPDR ゴールド・シェア】

基準価格:$117.14

トータルリターン:1年・-1.88%、3年・-0.97%

純資産:$337億

主な販売会社:楽天証券、SBI証券、マネックス証券

金に投資し、その国際価格に連動する成果を目指すETF。金を直接買わなくても手軽に「有事の金」の上昇に乗ることのできる金融商品のひとつ。東京証券取引所にも同じETFが上場されているが、「有事」の上昇に乗るならアメリカ上場のETFを利用してドル建てで投資するのがポイントだ

【春山昇華氏】

金融経済アナリスト。英国での投資業務や国内系・外資系の投資信託顧問会社などを経て、金融機関で運用関連業務に携わる。ブログ「豊健活人生」

【土居雅紹氏】

楽天証券執行役員。大和証券、大蔵省財政金融研究所、ゴールドマン・サックス証券、eワラント証券を経て’17年2月より現職。相場のアノマリー(経験則)やバブル相場に詳しい

取材・文/森田悦子 写真/時事通信

※上記基準価額は5月15日時点の終値(NY市場)

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最終更新:5/29(月) 12:14
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