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アポイントメントの確度が飛躍的に高まる電話術

5/29(月) 16:20配信

HARBOR BUSINESS Online

◆アポ率、成約率を高める電話BIGPR

 コミュニケーションの序盤で、相手を引き付けるBIGPRという分解スキル(参照:『取り引き相手に「誠実だ!」と思わせるビジネストーク術とは?』)は、B(Background 背景)、I(Introduction 紹介)、G(Goal 目的)、P(Period 時間)、R(Role 役割)をコミュニケーションの冒頭で、聞き手に伝達する方法だ。

「話のとっかかりをつかめない」「自分の話に相手が興味をもってこない」「なかなか話が進まない」……という困りごとの大半は、このBIGPRで解決できることが、20年来演習を実施する中でわかっている。

 この方法は、1対1の対面でのミーティングでも役立つが、電話でも、立ち話でも、相手を引き付けることに効果がある。事実、電話でBIGPRを実施した場合と、実施しなかった場合とで、電話アポイントメントの取得率が大きく異なる。冒頭の短い時間での切り出し方が、電話アポイントメントの成約率を高め、ひいては、商談の成功率を高めるのだ。

◆10秒で行う電話BIGPR

 立ち話や電話でBIGPRを実施する場合には、より簡潔に、スムースに繰り出す必要がある。話し初めから長引いてしまっては、そのことだけで、聞き手の集中力は低下するからだ。

 対面でのBIGPRを再録すると次のとおりだ。

【背景】先日は、お電話でお話させていただきありがとうございました。

【紹介】XX会社の山田です。

【目的】本日は、当社商品のご紹介をさせていただければ幸いです。

【時間】30分お時間をいただいています。

【役割】佐藤社長さまには、ご質問などを伺った上で、この商品にご関心があるかどうかご感想をお聞かせいただければ幸いです。

 これを短縮して、しかし、かつ、電話でも伝わるように、簡潔かつスムースなBIGPRの話法を身に付ければ、たいへんな武器になる。

 電話でのBIGPRの一例は次のとおりだ。10秒程度でBIGPRを行う実例をもとに作成した話法例だ。

【背景】先日お伺いしました。

【紹介】XX会社の山田です。

【目的】先日のご質問の回答をさせていただきたいのですが、

【時間】このまま5分ほどお話できますでしょうか。

【役割】さらに気になる点があればご教示ください。

◆ポイントは「電話と会議の目的峻別」

「先日お伺いしました、」「ご無沙汰しています、」「初めてお電話させていただきます、」という話法が、電話でのBIGPRのB(背景)だ。これを言うだけで、唐突感を薄れさせることができる。いきなり社名と名前を言ってしまうと、顔と名前が一致していなければなおさら、一致していても、「いったい何で電話をしてきているのか」という懸念を聞き手に与えることになる。前回のコンタクトの有無が問題なのではない。有っても無くても、それに触れることが聞き手を安心させるのだ。

 電話でのBIGPRのG(Goal 目的)は、その電話での会話の目的だ。電話で質疑応答をしたいのであれば、それが目的で、質疑応答をした後、訪問して契約をするということは、その電話でのBIGPRの目的ではない。電話で次のアポを取りたいのであれば、アポを取りたいということが目的で、アポを取った後に訪問して、商談することは、電話でのBIGPRの目的ではない。BIGPRがクリアでなくなるケースで最も多いのが、これらが混同してしまう事例だ。その点が電話でのBIGPRの難しさで、陥り易い罠と言える。

 電話でのBIGPRのR(Role 役割)でも同様の難しさに直面する。前の例のとおり、先日の質問の回答を5分電話で話すことをふまえて、「さらに気になる点があればご教示ください」ということが、聞き手に期待する役割である。これを、その後の訪問と混同してしまい、先日の質問の回答を5分電話で話すことをふまえ「次回訪問時にご契約をお願いします」と言ってしまうと、訪問の際に相談すべき契約するかどうかという点を、電話でやりとりすることになってしまい紛糾しがちだ。

◆反復演習がものを言う電話BIGPR

 電話でのBIGPRは、対面でない分、もれなく実施することが大事だ。対面でない分、相手の反応もわかりづらい。相手が理解しているものと思い込んだり、電話口での明るい口調や柔らかな口調に甘えて、BIGPRのいずれかをもらしてしまうと、実は聞き手はその情報がないことが気になって先に進めなかったり、表面的な対応で終始してしまうということがよくある。

 電話でのコミュニケーションは、顔の表情や身振り手振りを駆使できずに、口頭表現だけが頼りとなる。その分、訓練すべき分解スキルは明確で、反復演習すれば上達が期待できる領域なのだ。

 加えて、電話でのコミュニケーションは、その後の訪問や、会議など、電話以外のコミュニケーション機会との組み合わせで実施されることが多い。その分、どの情報を、どの段階で伝達するかということが重要となるので、プロセスの分解によっても効果を高めることができるのだ。

※「BIGPRのスキル」は、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月。ビジネス書ランキング:2016年12月丸善名古屋本店1位、紀伊國屋書店大手町ビル店1位、丸善丸の内本店3位、2017年1月八重洲ブックセンター4位)で、セルフトレーニングできます。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第35回】

<文/山口博>

【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。株式会社リブ・コンサルティング 組織開発コンサルティング事業部長。さまざまな企業の人材育成・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、リブ/コンサルティング組織開発コンサルティング事業部長。。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある

※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。

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最終更新:5/29(月) 20:01
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