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映画「この世界の片隅に」のルーツとして再注目されている『マイマイ新子』が緊急文庫化!

5/29(月) 17:30配信

ダ・ヴィンチニュース

 戦争の傷を負いながらも懸命に生きる人々が、変わりゆく時代の中で成長する日々を懐かしくも切なく描いた『マイマイ新子』が緊急文庫化し、2017年6月8日(木)に発売される。

 クラウドファンディングで制作資金を集めた作品ながら、上映館は200以上に広がり興行収入も20億円を超えた大ヒットアニメ映画「この世界の片隅に」。そのルーツとして今にわかに再注目を浴びているのが片渕須直監督の前作「マイマイ新子と千年の魔法」。同映画の原作である『マイマイ新子』が、片渕監督の「解説」、浦谷千恵作画監督の描き下ろし挿画付きで蘇る。

 新子はマイマイ(つむじ)をピンと立て、妹や友達と今日も元気に駆けまわる。大好きなおじいちゃんが作ってくれたハンモックは2人だけの秘密―。

 同書は昭和30年代の山口県国衙(こくが)が舞台で、芥川賞作家・高樹のぶ子の自伝的小説だ。「この世界の片隅に」と同様に日常を丁寧に表現している作品で、空想好きな小学3年生の少女・新子と、東京からの転校生で引っ込み思案な少女・貴伊子らとの暮らしが生き生きと描かれている。※「高樹のぶ子」の「高」は正式には「はしご高」

高樹さんからはこのようにいわれた。「映画に作るときにどういうふうに変えていただいてもかまわないんです。ただひとつここは大事にして欲しいというものがあります」――それは「切なさ」なんです。と、高樹さんは続けられた。もはや意外とも思わず受け止めることが出来たように思う。「解説」より
 片渕監督が映像化してまで伝えたかった物語。高樹が1文字1文字紡いだ「あの頃」の空気感、生活感を噛みしめながら読み進めよう。

高樹のぶ子(たかぎ・のぶこ)
1946年山口県防府市生まれ。東京女子大学短期大学部卒業後、出版社勤務を経て、1980年『その細き道』を『文學界』に発表。1984年『光抱く友よ』で芥川賞、1995年『水脈』で女流文学賞、1999年『透光の樹』で谷崎潤一郎賞、2006年『HOKKAI』で芸術選奨文部科学大臣賞、2010年『トモスイ』で川端康成文学賞を受賞。2009年紫綬褒章受章、2017年日本芸術院賞受賞。主な著書に『満水子』『甘苦上海』『飛水』『アジアに浸る』『マルセル』『香夜』『少女霊異記』『オライオン飛行』など。

※掲載内容は変更になる場合があります。