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水崎綾女が『光』で見せた必死さ 「河瀬直美」を経験し女優として成長

5/30(火) 17:59配信

otoCoto

「第70回カンヌ国際映画祭」の授賞式が、現地時間5月28日に行われた。

コンペティション部門に選出されていた『光』は惜しくもパルムドールを逃し、河瀬直美監督にとっても7度目の正直はならなかった。

が、授賞式前日には、日本人女性監督としては初となる「エキュメニカル審査員賞」を受賞した。
同賞は、キリスト教徒の映画製作者、映画批評家らによって1974年に創設され、人間の内面を豊かに描いた作品に贈られる賞で、日本人監督作では過去に、青山真治監督の『EUREKA ユリイカ』が2000年に受賞している。

受賞に際し、河瀬監督は「映画というのは人を繋ぐもの。人は人種も国境も越えていくもの。映画館の暗闇の中で、映画という光と出会うとき、人々はひとつになれる。カンヌでも一体感を持てたことがうれしかったです」とコメントした。

また、27日には新宿バルト9にて初日舞台挨拶が行われ、カンヌから帰ってきたばかりの水崎綾女、神野三鈴、藤竜也が登壇。
さらに、劇中で映画の音声ガイドの声を“ノーギャラ”で担当した樹木希林が登場すると、「お断りしたんですが、無理やり連れてこられました」と口にし、会場を沸かせていた。

壇上では、カンヌに残っている河瀬監督と永瀬正敏とSkypeでやり取りする場面も見られ、樹木は「映画を作ってる時は綺麗な心で作ってるんだけど、それが脚光を浴びると一変するの。それで潰れてしまうか花開くかはその人の器量次第ね」と前置きし、永瀬に対して「永瀬さんは賞をもらえただけで一喜一憂する人ではないわね」と、河瀬監督に対しては「河瀬さんは元々勘違いしてるところがあるから」と鋭く分析すると、“中継”の影響で少し遅れて笑顔を見せる2人の姿がスクリーンに映し出された。

そして、「一番変わりそうなのはこの辺ね。今度写真を撮ったら『やめてください』って言われそう」と樹木が指差したのが、水崎だった。

樹木から「(河瀬監督の現場は)大変だったでしょう? 自殺しようとか思わなかった? 消えてなくなりたいとか思わなかった?」と矢継ぎ早に質問されると、水崎は「そんなことないです(笑)。必死に食らいついていこうと思ってました」と、苦笑いを浮かべながらも真っ直ぐな言葉で返すと、「そうよね。それだけの値打ちはあったわよね」と、温かい眼差しを向けていた樹木だった。

初めてのカンヌを振り返り、水崎は「圧倒されっぱなしでした。2300人の観客の皆さんと一緒に大スクリーンで観ることができて本当に嬉しかったです。映画を観終わった後には、海外の方から『美佐子(役名【尾崎美佐子】)の目の感情がすごく表れていて良かったよ』という言葉を掛けて頂けたので安心しました」と、未だ興奮冷めやらぬ様子だった。

元々は歌手になりたくてこの世界に入った水崎だったが、今回のカンヌでの体験、そして、河瀬直美監督との経験は、彼女にとって大きな財産となり、女優として進むべき道を明るく照らしてくれる“光”となったに違いない。

佐々木誠

最終更新:5/30(火) 17:59
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