ここから本文です

【知れば、安心】酒場のローカルルール

5/30(火) 17:50配信

GQ JAPAN

酒場の新しい楽しみ方を提案する書『新 酒場入門』(マイナビ)を刊行した著者の小宮山雄飛が、とくにディープな人気店とそのローカルルールを教えてくれた。

【最高の酒場ライフ】5軒のローカルルール

酒場にはよく、お店のローカルルールが存在する。たいていの場合、そのルールは親切に壁に貼ってあったりはしないので、何回か通って学んでいくしかない。一見さんがルールを分からず変な注文の仕方をしてたりすると、常連さんには一目で「あいつ一見だな」とバレてしまい「お前分かってねーな!」なんて怒られそうで、なかなか初めてのお店には入りづらいもの。しかし、そんな独自ルールを面白いと捉えて知らないお店に飛び込んでみると、そこには最高の酒場ライフが待っているのです。

ローカルルールで有名な一軒は茅場町の「ニューカヤバ」。まず女性だけの入店は不可、おかみさん曰く「グループに1人いるくらいならいいかな……」と、これまた曖昧なところもまたローカルルールらしさ。さらにビールや酒、焼酎などの飲み物は壁に並ぶ自販機にお金を入れて自分でコップに注ぐ。ちなみに酒の自販機はお金を入れた途端に酒がジャバっと出て来るので、先にコップを置いておかないと大変なことになります。ここで「先に教えてよー!」などと言ってはいけません、それがローカルルールなんですから!(一応自販機には注意書きがあります)。ツマミはカウンターで現金と引き換えで購入。面白いのは焼き鳥で、串に刺さった生のものが渡され、店内奥の焼き台で自分で焼く。それを知らずに生肉のまま食べてしまって「先に教えてよー!」なんて言ってはいけません(さすがにそんな人はいないだろう)。

武蔵小山の名店「牛太郎」のルールは、店主のジョーさんに「何にします?」と聞かれるまでこちらから注文してはいけないというもの。一見高飛車なルールのように感じますが、これ少人数で切り盛りするお店側を思ってお客さんサイドから自然に生まれたルールというから、いかにこのお店が常連さんに愛されているかが分かります。ちなみに、このルールにのっとってジョーさんから聞かれるのを待っていたら、入店してから「ビールください」まで20分かかってしまったこともありましたが、そんな待ち時間こそ酒場の醍醐味というもの。なんでもかんでもクリック一つですぐ手に入ると思うな!という教えを酒場で学ぶわけです。

恵比寿の「とよかつ」のルールは、焼き物は最初の注文1回のみ、後からの追加注文不可というもの。これもなかなか気合のいるルールです、自分の今後の腹具合を入店時にしっかり把握して、一発で頼まなければいけない。「もう1本食べたいなあ……」も「もうお腹一杯……」も許されません、ホール・イン・ワンを目指して慎重に注文する、これはもう注文という名のスポーツなのです。注文した串が全て出て、酒を呑み終えたところで「よし、今日の試合は完璧だった!」とカウンターの下で小さくガッツポーズを取る(あまり大げさに喜ぶと、なにを喜んでるんだ?と怪しまれるので、あくまでさりげなく)。

月島のモツ煮込みの名店「げんき」も一見さんにはなかなかハードルの高いお店。ハードルの高さはその営業時間。月曜~土曜、午後3時30分から6時30分までの3時間しか営業してない上に、売り切れで早仕舞いの時もあるから、近所で働いてでもいない限りなかなか訪れることができません。さらにこちらのお店の最大の特徴は、店舗内に食べるスペースがないため、お客さんはみな路地に置かれたアルミ椅子に座って酒を呑みツマミを食べるという、これぞ東京のリアルストリートフード! そんなお店のローカルルールは2本までなら近所のコンビニなどで買ってきた缶ビール、缶チューハイ持ち込み可という、お客さんに優しいルール。まあ、よく考えたらそもそも路上で呑んでるので、お酒を持って来ることが「持ち込み」にあたるかよく分かりませんが、とにかく安くてほんとに美味しいモツ煮込みを、缶ビール片手に下町の裏路地で食べられるなんて、酒好きにとっては最高の環境です。

最後に、新宿の日本酒セルフ飲み放題の店「部長featuring やまちゃん」はルールのなさこそが最大のローカルルール。3000円払って受け取るのは1つのお猪口だけ。このお猪口を使って約100銘柄の日本酒をセルフで注いで飲み放題、さらにツマミや日本酒以外の飲み物は全て持ち込み可(お店には何もありません)、家で作って来た料理を持ち込む人、野菜や肉を買って来て店内でBBQする人、デリバリーピザを頼む人まで(お店なのに!)。しかも飲み放題につきものの時間制限もなく途中外出も可という、自由すぎるローカルルールをフルに活用して楽しまなきゃ損なお店なのです。

知らないお店にはなかなか入りづらいのが酒場の世界、しかし一旦ルールを知ってしまえばそこはまさしく大人のワンダーランド! 勇気を出して飛び込んでみてはいかがでしょう。

Yuhi Komiyama

最終更新:5/30(火) 17:50
GQ JAPAN

記事提供社からのご案内(外部サイト)

GQ JAPAN

コンデナスト・ジャパン

2017年11月号
2017年9月23日発売

600円(税込)

EXILE AKIRAが登場!ニューヨークのアキラ/いま手に入れるべき禁断のNew It アイテム大行進!!/浅草&錦糸町「酒場ガイド」 濹東綺〝舌〞ほか