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JASRAC問題はコンテンツ業界が稼ぐためのチャンス --- 方喰 正彰

5/30(火) 16:20配信

アゴラ

5月に入ってから著作権をめぐる問題が世間を賑わせている。

代表的なものとして1つは「音楽教室の著作権使用料を巡る問題」であり、もう1つは「京都大学の総長式辞歌詞印税を巡る問題」であり、2つの“事件”に共通しているのは、権利の範囲と教育等における非営利性に関する点である。

営利性を追求すれば、権利の使用がある以上は相当な対価を支払うことが当然であり、一方で、非営利性を追求すれば無償使用が認められるべきという主張で双方は対立する。著作権と教育においては次のような特例があり、今回もそれらが問題に関係している。

“著作権法22条
「著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。」”

“学校における例外措置(主なもの)
・教員及び児童・生徒が、綬業の教事守として使うために他人の作品をコピーし配布する場合(第35条 第1項)
・学芸会、文化祭、部活動などで他人の作品を上演・演奏・上映・口述 (朗読等)する場合(第38条 第1項)”

正当性と厳格性をもって事務的な処理を行う権利者側(今回の場合、音楽著作権の管理委任を受けているJASRAC)と、あいまいな線引きと暗黙の了解で事なかれ主義に話を着地させたい非権利者との主張はかみ合うことがないだろう。繰り返されるこのような権利問題から日本のコンテンツビジネス負け組の要因が見えてくるのではないだろうか。

私は、今回の事件が報道されてから、その背景に「日本のコンテンツビジネスが構造的不況を抜け出せない理由」が見え隠れしているのではないかという疑問を感じた。

攻めと守りをバランスよく

今回の事件に限らず、仔細を見ればJASRACの仕組みなどに改善すべき問題は多々あるが今回の件を契機として、日本におけるコンテンツビジネスの大改革を起こすチャンスにする議論へ発展させてはどうだろうか。

私はマンガやキャラクター、アニメに関係する仕事に携わることがあるが、「チーム日本」、「株式会社日本」の戦略的輸出品目としても注力されているクールジャパンのコンテンツにおいても今回の著作権をめぐる問題と同じような問題点が生じていると感じている。ある調査によれば日本コンテンツの売上の内、日本のコンテンツホルダの収入は、34%ほどと推計されている(注1)。

日本におけるコンテンツビジネスの失敗は、権利を守ることに固執しすぎることにあると感じている。
守ることに固執するがあまり、権利を有効活用できず、価値あるコンテンツを眠らせてしまっている。
そして最終的には、その金の卵を卵のまま持ち続けて、どうしようもなくなってきたところで海外に委ねてしまったり、権利を手放してしまう…ということではないだろうか。その結果が前述の収入割合34%という数字を生んでいるだろう。

国内で、業界内で試行錯誤して協力すれば良いものを、呉越同舟に耐えられず、「国内」と「国外」とで市場を切り離し「払い下げ」と思われるほどの対価で手放してしまうということには「落胆と失望という以外のなにものでもない」、そんな言葉が関係者から聞こえてくる。

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最終更新:5/30(火) 16:20
アゴラ

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