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トランプ大統領の予算教書とフェイクニュース --- 山田 肇

5/30(火) 16:39配信

アゴラ

5月23日にトランプ政権は2018年度予算教書を連邦議会に提出した。ワシントンポストは同日、「トランプは科学・医学研究、疾病予防予算の大幅カットを求めている。」(https://goo.gl/X5F2sE)と伝えた。

国立がん研究所は10億ドルの削減、国立心肺血液研究所は5億7500万ドルの削減、国立アレルギー・感染症研究所は8億3800万ドルの削減で、これら研究所の親組織である国立衛生研究所(NIH)全体では、318億ドルから260億ドルへの削減になると記事は紹介している。

そのうえで、疾病予防管理センター(CDC)の前所長Tom Friedenのツイッターでの発言「制定法の基準からみて安全ではない。病気、死亡、米国人のリスク、医療費を増加させるだろう。」を引用した。このように、ワシントンポストは、トランプ政権の予算案を批判している。

ところが、著名な雑誌「Science」の電子版の情報は違う。同誌は、研究間接費をカットしたと説明する(http://www.sciencemag.org/news/2017/05/what-s-trump-s-2018-budget-request-science)。

研究を実施するためには実験設備・実験材料・研究者などが必要になる。これらへの費用を総称して研究直接費という。これに対して、研究所にある共用施設の整備、会計管理のための事務員の雇用などにかかる経費を研究間接費という。今までは直接費の30%を上限として間接費を請求することが認められてきた。これをトランプ政権は一律10%に削減したというのである。

NIHの2017年予算318億ドルにも30%の間接費が含まれていたとすると、直接費は245億ドルだったことになる。2018年度予算では間接費が10%に減じられたので、直接費は236億ドルになる。この計算の通りであれば、NIHが使うことのできる研究直接費には、ほとんど変化はない。

雑誌「Science」が意図的にトランプ政権を擁護するとは考えにくい。僕らは情報源としてワシントンポストなどの有力紙を頼りがちだが、少し慎重になるべきなのかもしれない。

山田 肇

最終更新:5/30(火) 16:39
アゴラ

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