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大阪万博とカジノの見返りか? 維新、「共謀罪」成立に“ゴマスリ”協力

5/31(水) 10:44配信

週刊金曜日

 日本維新の会は、自公両党と「共謀罪(テロ等準備罪)」について、取り調べの可視化(録音・録画)やGPS(全地球測位システム)捜査の立法措置の検討を附則に盛り込む法案修正に合意。5月29日、同法案は衆院を通過した。現在、参院で審議が始まっている。

 昨年12月に自公と維新の賛成で成立したカジノ法案と同じパターンだが、野党を標榜するものの実態は「第2自民党」「官邸別動隊」と呼ぶのがぴったりの維新の賛成で、「強行採決ではない」と与党が言い訳をすることが可能になる。維新を狂言回しにした官邸主導の“茶番劇”といえるのだ。

 維新のブレーンだった元経産官僚の古賀茂明氏は、こう批判する。

「大阪の地域政党が国政に進出したことで、大事な政策を歪めてしまう。『大阪で万博をやります。そこにカジノを誘致しましょう』という地元への利益誘導のために、国政で譲ってしまうということです。大阪で維新が信任を得たのは『改革をします』という訴えが支持されたからで、安倍政権との連携が信任されたわけではない」

 実際、松井一郎大阪府知事・維新の会代表は、悲願である「大阪万博誘致」と「カジノを含む統合型リゾート(IR)推進」で安倍政権と二人三脚を組んでいる。万博もIRも候補地は大阪湾の人工島「夢洲」(大阪市此花区)だが、南海トラフ地震の津波襲来想定区域で浸水や液状化が懸念されている。しかも交通手段が未整備であるため、液状化対策や地下鉄整備(約540億円)などの莫大なインフラ整備費が必要だ。

 そこで安倍政権は「東京五輪後の経済対策は大阪万博」という錦の御旗を掲げることで、巨額の血税投入を正当化。一方、維新の悲願実現を後押しする安倍政権に恩返しするために、維新は前国会のカジノ法案や今国会の共謀罪などで協力しているに違いない。まさに「ギブ・アンド・テイク」の蜜月関係といえるのだ。

【終盤国会と都議選に注目】

 両者の“出来レース”の兆候は、共謀罪法案が提出された先月から漂っていた。衆院での審議が始まった4月6日、府庁内の囲み取材で松井知事は「(共謀罪の)対案を出していきたい」と語る一方で、大阪万博立候補の閣議了解が予定よりも1カ月早まったことについて、感謝していたからだ。

「(閣議了解の前倒しについて)ありがたいと思っています。閣議決定をしていただければ、速やかにBIE(博覧会国際事務局)に申請をしたいと思います。開催地の組長として国とご一緒したいと思います」(松井知事)

 政府が大阪への莫大な血税投入という“餌”をまき、それに地域政党の維新が食いつくという構図。この時点から「当初は反対する構えを見せ、最後は修正協議をして賛成に回る」という維新・官邸合作のシナリオが透けてみえた。

 修正合意3日前の8日夜には、大阪万博誘致を目指す超党派議連会長の二階俊博自民党幹事長が、維新の馬場伸幸幹事長と遠藤敬国対委員長と会談。大阪誘致の機運醸成に向けたイベント開催の考えを示すと同時に、維新との修正協議の歩み寄りについても触れた。自民党が万博を後押しする見返りに、維新が共謀罪法案成立に協力する“癒着”を物語るものだ。

 これに対して、民進・自由・社民の野党3党は11日、テロと組織犯罪対策を目的とした法案(「航空保安法案」「組織的犯罪処罰法改正案」)を衆院に共同提出。同日の会見で蓮舫民進党代表は「現実的なテロ対策の強化法案」と強調。修正協議の真っ最中であった「維新の政権補完勢力的な役割」について聞くと、直接的な批判は避けたものの、「国民の皆さんには各政党がこの『共謀罪』についてどのような対応をしたのかは、よく見ていただきたい」と答えた。

 なお「共謀罪は都議選の争点」と会見で表明した蓮舫代表は7日、都議選予定候補の応援演説で共謀罪法案を批判、対案提出も予告。

 終盤国会の動向とともに共謀罪反対の民意が、都議選や次期衆院選でどう現れるのかが注目される。

(横田一・ジャーナリスト、5月19日号)

最終更新:5/31(水) 10:44
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