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映画『光をくれた人』 流れ着いた赤ん坊をめぐる号泣必至の人間ドラマ [mi-mollet]

5/31(水) 12:01配信

講談社 JOSEISHI.NET

「全米が泣いた!」はハリウッド映画のCMでおなじみのキャッチフレーズ。最近は「隣の人がめっちゃ泣いてました」というCMもありましたね。斬新! 今回紹介する『光をくれた人』の海外評に、こんなフレーズがあります。「ティッシュ会社の株価が上がるほど、観る者は涙するに違いない-ガーディアン紙-」。これを目にしたときは、いやいやいやいや、さすがにこれはいくら何でもと思ったのですが……、観終わったとき、全俺が泣いたことをご報告したいと思います。

1918年、英雄として戦地から帰還したトムは心に深い傷を追い、オーストラリアの孤島の灯台守の仕事につきます。世捨て人のように生きようとしていた彼を変えたのは、美しく朗らかな娘、イザベルとの出会い。結婚したふたり(素朴なウェディングドレスと花飾りの何て美しいこと!)は島で幸せな暮らしを送りますが、イザベルは度重なる流産を経験してしまいます。そんなある日、島に流れ着いてきた女の子の赤ちゃんを見つけたイザベルは自分の子どもとして育てたいと切望します。迷いながらもトムもそれを受け入れ、親子3人の穏やかな日々が続いていました。けれども数年後、トムは娘の実の母、ハナの存在と苦悩を知ってしまうのです。

良心の呵責に耐えきれなくなるトム、娘を手放したくないイザベル、我が子を取り戻したいハナ――。常識で考えれば赤ちゃんを見つけたときに届け出なかった夫婦の決断は許されるべきものではありません。けれどもあまりにもむごい悲劇を経験したイザベルの憔悴した姿を見ていると、彼女の気持ちもわかる。ハナに真実を告げようとするトムの行動はやはり正しいのだと思いながらも「夫婦だけの秘密にしておけばいいのに」と感じてしまう。そしてハナにはこの愛らしい娘をもう一度抱かせてあげたいとも思う。それぞれの心情が痛いほどわかり、誰も責められないからこそ、映画を観ている間ずっと胸がぎゅっとなるような苦しさを感じました。

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