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帝国データバンクが「倒産の兆候」を見て取るポイントとは

5/31(水) 15:30配信

マネーポストWEB

 今年3月、151億円もの莫大な負債を抱え、旅行業界では過去4番目の大型倒産となった「てるみくらぶ」の経営破綻。実は同社は3年前から大幅な赤字に陥り、粉飾決算で黒字を装い、銀行や税務署など提出先ごとに異なる決算書を作成していたことが明らかになっている。

 極めて杜撰な経営だったといわざるを得ないが、事前にその“兆候”をキャッチしていたのが、企業を調査する「帝国データバンク(以下、TDB)」だ。同社情報部は、企業が倒産した際の負債状況などを記載したレポート『倒産速報』を発表しており、てるみくらぶが自己破産申請を東京地裁に提出した日の速報には、TDBが掴んでいた兆候がしっかり記されていた。TDB東京支社情報部情報取材編集課副課長の内藤修氏が解説する。

「売り上げが2011年9月期の134億円から2016年9月期の195億円へと増加するなか、TDBでは対面販売や添乗員の増員等で人件費が増加していたことや、積極的な広告出稿に伴う販管費用負担増、円安の影響による利益率の悪化などを把握していた。それは破産申請当日の倒産速報にも記した通り。余裕のない資金繰りが続いていると見ていました」

 そんなふうに独自情報を収集するTDBのノウハウが紹介された書籍『あの会社はこうして潰れた』(日本経済新聞出版社)が10万部超えという異例のヒットとなっている。著者の藤森徹氏は、発売直前に亡くなっているが、TDB東京支社の前情報部長。前出の内藤氏はその後輩にあたる。

 TDBをはじめとする信用調査会社とは、企業が取引先の財務状況などを知りたいときに利用する調査会社だ。では、具体的に彼らは何を調査するのか。

「われわれ情報部は『倒産した会社』や『倒産しそうな会社』の情報収集とその要因を記事化する部署です。ある会社に倒産の兆候があるという情報が入れば、正面からアポを入れ、登記に書かれていない管理職の人事情報、財務情報、取引先などを聞く。会社所在地の現地確認や決算書まで確認します。地元の関係先にも側面取材協力を仰ぎます」(内藤氏)

 てるみくらぶのように、粉飾決算に手を染めた兆候が見える会社は、当然のことながら倒産リスクが高い。情報部の部員(記者)たちが注目するのは、数字だけではない。前出の内藤氏は、兆候を見て取るポイントについてこう語る。

「『何か変だな』と感じさせる空気を現場に行った記者は嗅ぎ取ります。電話が何本も同時に鳴っているのに誰も取らなければ、返済の催促を恐れている=資金繰りに詰まっていることを疑います。手形の収入印紙が雑に貼られるようになった、社判が斜めに押されるようになったなどの変化も、“担当者が退職したのか”とか“雑になったのは資金繰りが苦しく、手形を切る数が増えたからでは”と考えたりします。

 上場企業で『監査法人が中小に変わった』というときも注意が必要で、不正経理をごまかすためだったりする。業績が悪化しているのに、登記上の事業内容の数字が膨れ上がったり、役員に聞いたこともない人たちが不自然に載り始めたりするのも危険な兆候ですね」

 内藤氏は、「倒産の2~3年前にはその兆候は掴める」と語った。

※週刊ポスト2017年6月9日号

最終更新:5/31(水) 15:30
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