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ドラマ『ウエストワールド』はフェイクニュースに溺れる現実世界への警告!

5/31(水) 6:00配信

週プレNEWS

『週刊プレイボーイ』本誌で「モーリー・ロバートソンの挑発的ニッポン革命計画」を連載中の国際ジャーナリスト、モーリー・ロバートソンがドラマ『ウエストワールド』から見る現代人の姿について語る。

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Huluで配信されているドラマ『ウエストワールド』にドハマリしてしまいました。1973年に公開された同名映画のリメイク版として、アメリカのケーブルテレビ局HBOが制作した全10話のTVドラマシリーズです(シーズン2の配信予定もあるそうです)。

40年以上前、僕が父親と一緒に広島の映画館で見たオリジナル作品は「量産型の安っぽいSF」だったと記憶していますが、リメイク版は現実世界の深刻な問題を物語に内包しており、実によくできています。

ネタバレしすぎない程度に説明すれば、物語の舞台は、西部開拓時代をAIやロボット工学などの最先端技術で再現した体験型テーマパーク「ウエストワールド」。高額な入場料を支払った富裕層は、パーク内で暮らすアンドロイド(人型ロボット)に対し、欲望の赴くままに殺人やセックスに興じることが許されます。アンドロイドは決して報復しない(ことになっている)からです。

このパークが婉曲(えんきょく)的に表現しているのは、人間という生き物があらゆる場面で行なう「差別」の醜さです。作品で人間がアンドロイドに対して抱くあまりに露骨な差別意識には、人間の歴史におけるあらゆる差別が投影されているのです。

また、人間がアンドロイドを殺すときに選ぶ必要以上に加虐的な手法は、IS(イスラム国)のショーアップされた殺人行為を彷彿(ほうふつ)とさせます。延々と描写される残虐なシーンを見ていると、目を背けそうになりながらも、いつの間にか“エンターテインメント”として消化している自分がいる。それに気づいたとき、中東やアフリカなど世界各地の“惨状”を人類は放置している、という罪悪感を突きつけられ、「今度はおまえがやられる番だ」と問われているような思いに駆られます(深読みしすぎだといわれそうですが、国際ニュースに通じている人ならおそらくそう感じるでしょう)。



作品には、あのアンソニー・ホプキンスがウエストワールドの創設者役で出演しています。当初はなぜあれほどの大物が、ケーブルTVドラマの脇役をやっているのか疑問でしたが、物語が進むにつれ、人間の罪深さを知る彼の存在がクローズアップされていきました。

映像技術のすごさを競った時代は終わりを告げ、今アメリカでは、脚本のリアリティや深さを追い求める部分に才能が集中しているように思えます。その点、この作品の脚本はまさに圧倒的。2時間の映画ではとても描き切れない「現実世界に対する示唆」を、10時間という枠の中で表現しています。

金という“万能ツール”にものを言わせて欲望のままに振る舞う作品内の富裕層の姿は、ソーシャルメディアで情報強者ぶりながら他者を攻撃し、「フェイクニュース」を拡散する現代人の姿に重なります。自分が他人より価値の高い人間であると装いたい。上に立ちたい、傲慢(ごうまん)な裁きを下したい。そういった願望を満たしてくれるなら、どんなデタラメなニュースでもポルノとして消費してしまおう―そんな“溺れる愚者”たちへの警告かもしれません。

作品では、散々傲慢に振る舞った大金持ちが“復讐”に遭います。現実世界の愚者には一体、どんな未来が待っているのでしょうか。

●Morley Robertson(モーリー・ロバートソン)
1963年生まれ、米ニューヨーク出身。国際ジャーナリスト、ミュージシャン、ラジオDJなど多方面で活躍。フジテレビ系報道番組『ユアタイム~あなたの時間~』(月~金曜深夜)にニュースコンシェルジュとしてレギュラー出演中!! ほかにレギュラーは『NEWSザップ!』(BSスカパー!)、『モーリー・ロバートソン チャンネル』(ニコ生)、『MorleyRobertson Show』(block.fm)など

最終更新:5/31(水) 6:00
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