ここから本文です

「このチームが大好き」日本人不毛の地で乾貴士が輝ける理由

6/1(木) 21:01配信

footballista

今が人生で一番楽しいかもしれない

INTERVIEW with
TAKASHI INUI
乾貴士(エイバル)


16-17シーズンのリーガ最終節、バルセロナ戦で手にしたインパクト大の2ゴールを手土産に自身約2年ぶりとなる日本代表入り。ドイツからスペインに渡り、海外生活6年目のシーズンを終えた乾貴士は、日本人にとっては鬼門の地となっているスペインで、のびのびとプレーを楽しみ、日々成長している。

なぜ、彼だけがリーガエスパニョーラに適応できたのか――? その秘密をじっくりと語ってもらった。



インタビュー・文 木村浩嗣
写真 フェリックス・モルケチョ



通訳はいる? いらない?
1年目は戦術理解が重要になってくるので付けてもらった方がいい



──まず今の試合出場数19試合、うち18試合先発には満足されていますか?

「そうですね。もちろんもっと出たかったですし出てなかった時期もあったので。それを考えると満足はしてないですが、出てない時期に比べて出られるようになりましたし、そこは自分の中でポジションを取り返したじゃないですけど、争えるところまできたのかなと。そういう面では良かったなと思っています」


──課題というのはゴールってことになりますかね?

「もちろんそうですね。もしこの18試合で5、6点取れていればもっと試合に出られていたかもしれないですし、フル出場できた試合も増えたんじゃないかと思います。ただそれができていないのは自分の実力です」


──リーガに来て2年目ですけど、去年に比べて成長したとかプレーしやすくなったとは思いますか?

「そうですね。プレーの波もなくなってきましたし、自分の中で全然納得のできない試合がやっぱり去年まではありました。今はそこまで酷い試合はないので、そのへんは成長しているんじゃないかなと思います。ただ、ゴールというところはもっと成長させていかないといけない。メンディリバル監督の戦術面、特に守備面は去年よりは理解できてきたなと自分でも感じています。前の選手である以上ゴールが求められるんですけど、メンディリバルはそこばかりを見ている人ではないので。そこばかり見ている監督だったらたぶん18試合も使ってもらってないですし、もっと早く『もう使えへん』となって終わっていた。実際、『それ以外のところで貢献してくれている』と言われたこともあります。自分にとってはありがたいことですし、総合的に去年より成長しているのかなと思います」


──今朝メンディリバル監督と話をしてきたんですけど、守備が良くなったとは言っていましたよ。

「そうですか」


──グラウンドで監督とはスペイン語でコミュニケーションされていますか?

「はい」


──「タカは言葉はわからないかもしれないけど、言っていることをつかむのがもの凄く速い」、「スペイン人にスペイン語でしゃべっているよりも勘が良くて速い。頭の良い選手だ」と去年会った時に言っていましたよ。

「どうですかね(笑)。選手の動きとか見ながら練習の内容とか想像しています。なんか場面、場面で言っている監督の意図は、そこまで言葉がわからなくてもわかります。ドイツの時からそうですが、監督の言っていることを聞こうじゃないですけど、どうにか理解しようとは意識しています」


──意図をつかむってことですよね。

「そうですね」


──今日もグラウンドでランニングしているところを見させていただいていたんですけど、走る前にスペイン人のチームメイトと冗談っぽく話をしていましたけど、あのへんのスペイン語は全然問題ないということですか?

「ああいうのはもう大丈夫ですね。聞く分には言われていることは何となくわかります。ただ、それを言い返せないというか」


──なるほど。私もそうだったんですけど日本人は聞けるし文法なんかも割とできたりするんですが、言い返せない。すると向こうは冗談とかで結構いじってくるというか、やってきますよね。

「そうそう。だから僕、悪い言葉ばっかり使っています(笑)。悪い言葉は全部ある程度覚えています。教えてくれるんで。それを言い返しているという感じです」


──最初あれイジメじゃないかと思うこともありますもんね。

「そうですね。まあでも、スペイン人は基本笑いながら言っているんで全然大丈夫です。ドイツ人の方は真顔で言う感じなんで、スペイン人の方が全然ましですけどね」


──付き合いやすいという意味では付き合いやすいですか?

「笑顔も多いし冗談が多いので、ある程度冗談だとわかることが多いからそんなに気にしないですね」


──そういうジャブのやり取りというコミュニケーションができるようになったから、チームの一員という雰囲気ができているんですね。

「でも今年からですけどね、それも。2年目でキャンプから一緒にやることができたので。去年はキャンプにも一緒に行けなかったですから。今年は一緒にいる時間が長かったので、そういうところでいろいろコミュニケーションが取れるようになりましたし、まあ悪い言葉を教えてくれる選手が増えたので(笑)」


──誰が教えてくれるんですか? 誰と仲が良いのですか?

「いろいろ仲が良いですよ。マウロ(ドス・サントス)とかゴンサロ(エスカランテ)、ペーニャ(ルベン・ペーニャ)とかダニ(ダニ・ガルシア)とか。基本このチームは仲が良いので」


──1年目は日本人の通訳(岡崎篤さん)の方がいらしたじゃないですか。メンディリバル監督に聞いたら「もう通訳はいらないだろって言ったんだ」と言ってました。

「どうするんだろと思っていたんですよ、今年は。自分では正直どっちでも良かったんですけど、付けたらやっぱり頼ってしまうところがあったので。キャンプは1人で行っていたんで通訳さんなしで、そうなると自分からコミュニケーションを取ろうとする。やっぱり通訳さんがいると通訳さんとしゃべって頼ってしまうので、どうしても会話がスムーズにいかない。会話はできるけど間を挟んでいるから、ちょっと違うのかなというのもあって。監督もやっぱりそういうことを感じたみたいで、必要ないやろと。だからもう大丈夫です、と」


──今シーズンはキャンプの段階から1人ですか?

「キャンプから戻って1週間くらいは付いてもらったんですけど、そこからは基本はなしです」


──セビージャはクラブの方針として通訳を付けないんです。だから清武選手にも通訳を付けなかったんですね。それについてはどう思いますか?

「最初はやはり付けてもらった方がいいと思います。まったくわからない状態なので。僕は1年目週2、3回でしたけど来てもらって本当に助かりました。監督と通訳さんを挟んで会話をしたことが何回もありましたし、そういうところは大事になってくる。2年目からはいらないという判断はありかもしれないんですけど、1年目はどうしても戦術理解とか特に大事になってくるのでいると思います」

1/3ページ

最終更新:6/1(木) 21:01
footballista

記事提供社からのご案内(外部サイト)

月刊フットボリスタ

株式会社ソル・メディア

Issue 050
10月12日(木)発売

定価900円(税込)

[特集]
知られざる
メキシコ・北中南米サッカー