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強いチームにあって弱いチームにない決定的なもの【里崎智也の捕手異論】

6/1(木) 10:01配信

ベースボールチャンネル

 千葉ロッテマリーンズで16年プレーした里崎智也氏。現在は解説者・評論家として、野球界の“常識”に異を唱え続けている。このほど自著「捕手異論 一流と二流をわける、プロの野球『眼』」を発表した里崎氏が、野球界の発展を願い、あえて厳しい提言を送る。

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大型補強ない日ハムと広島。なぜ強い?

――弱いチームを強くしていくために必要なことって何でしょう?

「2つあります。お金をかけるか、知恵を絞るか。一概には言えないですが、お金をかければある程度は強くなる。『年俸20億円』で誘えばいい。みんなFAで来ますよ。もちろんこれは極端な例ですが、強くなるのはたしかな事実。それも戦略としてアリだと思う。

育てる時間がない、いい人材は全部ヘッドハンティング。そんな企業は一般社会でもたくさんありますよね。そうやって強烈な人材を集結させてトップを狙うのは戦略の1つ。その逆で、お金はないけど育てる能力・ノウハウはある、だから地道にやる。それもアリ。どっちを選択するか」

――昨今のプロ野球では日本ハムや広島はそこまで大きな補強をしているわけではない、むしろ有力選手をどんどん放出している。それでも強さを維持しています。

「それこそ知恵ですよ。日ハムは主力をバンバン出しても強いのは、フロント含めて意識改革ができていて、スカウティングもしっかりしているから。チームの総年俸もそう高いわけじゃない。広島もそう。選手もしっかり育てている。

 巨人やソフトバンクは強いけども、必ずしも優勝できるわけじゃない。お金をかけなくても勝っているチームが現実にいるってことは、頭の使いようで組織を強くしていくことが可能ということ。さっきも言ったようにどっちか。だけど、お金もなくて知恵もない、それじゃあ勝てない。野球じゃなくて、どんな会社でも潰れちゃいますよ」

育成で論文を書けない球団は、選手を育てられない

――お金に潤沢な球団は限られます。となると選手をじっくり育てていくしかないですよね。選手育成のポイントは?

「大枠の話で言えば、フィジカルや技術面などすべてプログラムして、長期的・中期的・短期的なビジョンを描かないといけない。ようは、チームが育成プランに関する論文を書けるのかどうかがポイント。プランと過去のデータなどをもとに論文を書けないような組織ではダメです。選手は育たない。書けないってことはプランがないのと一緒です」

――どれだけ一貫した理論を構築して根付かせているかですね。

「そう。書けるかどうかが問題。やり方は何万通りもあり、人の数だけある。正解か不正解かは結果からでしか評価できない。書けるかどうか、言えるかどうかが勝負。そのなかで、体力数値がこうなったので技術の進歩が見込まれる、今後の課題はここになる、故障した場合はこんな方法やプランBもある、と選手に伝えられないと」

――それはすべての指導者が?

「いや、指導者にも理論派と感性派がいて、選手も両方いるんで。例えば感性派の選手に理屈で説明しても『難しくて分かりません』となる。そういう選手には『グーっとなってバーっと打つ』みたいに言った方がいい。感性派同士だと『そうっすね!』となるんで。ただ、繰り返しますけど、チームとしては理論は持っていないとダメ」

(聞き手:ベースボールチャンネル編集部)


里崎智也

1976年5月20日、徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮高)、帝京大学を経て98年のドラフト会議で千葉ロッテマリーンズを逆指名して、入団。03年に78試合ながら打率3割をマークし、レギュラー定着の足がかりをつくる。05年は橋本将との併用ながらも、日本一に貢献。06年にはWBC日本代表として世界一にも輝いた。持ち前の勝負強さで数々の名シーンを演出。00年代の千葉ロッテを牽引した“歌って、踊って、打ちまくる”エンターテイナーとしてファンからも熱烈に支持された。14年限りで現役引退。現在はプロ野球解説者・評論家を務める。

ベースボールチャンネル編集部