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外国語を話せる人は「複数の世界」を生きられる

6/1(木) 17:10配信

ライフハッカー[日本版]

Popular Science:目覚まし時計のスヌーズボタンを押してからアラームが再び鳴り出すまでの時間。あなたはこの時間を「短い時間」と表現しますか? それとも「少ない時間」と表現しますか?

「短い」と「少ない」の違いを気にするのは、文法にこだわっているからではありません。言語が異なると時間の枠組みも変わるからです。

たとえば、スウェーデン語と英語は時間を長さで考えます。英語では「なんて長い一日だ(what a long day)」と言うでしょう。これらの言語においては、時間は端から端まで縦走すべき広がりなのです。

一方、スペイン語とギリシャ語は時間を量としてとらえます。これらの言語の話者は「なんてやることがびっしりの日だろう(what a full day)」と叫んだりします。時間は容器であり、さまざまなことでそれを満たしていくと考えているのです。最近『Journal of Experimental Psychology: General』に発表された研究によれば、こうした言語の差は、私たちの時間の経過のとらえ方に影響を及ぼしています。

「時間を長さとしてとらえる言語」が時間経過のとらえ方に影響する例

悲しいことを「気分が落ち込む」と言ったり、嬉しいことを「気分が上がる」と言うことを隠喩と言いますが、言語にはずいぶん隠喩が多いことが学術的に指摘され始めた1980年代以降、抽象的なことをどう言葉で表現するかが思考の仕方に与える影響の有無を検証する研究が行われてきました。

「時間は空間的観点で語られる傾向がありますが、時間のことを考えるときも空間的観点から考えてしまうのです。」

そう語るのは、この研究の主任著者であるEmanuel Bylund氏です。同氏は南アフリカ共和国のステレンボッシュ大学で言語学の教授を務めています。

Bylund氏と彼のチームはスペイン語を話すグループ(※時間を量としてとらえるグループ)とスウェーデン語を話すグループ(※時間を長さとしてとらえるグループ)にある一連の心理的作業をさせてみました。まず、スペイン語を話す40人のグループとスウェーデン語を話す40人のグループに2つの条件のうちの1つを示しながら、コンピューターアニメーションを見せました。

1つ目の条件では、被験者は線が伸びていくのを見ています。「4インチ伸びる線が1本あります。3秒かけて伸びます。次に、もう1本線があり、6インチ伸びます。こちらも3秒かけて伸びます。」と Bylund氏は説明しました。

被験者はそれらの線が伸びるのにかかった大体の時間を見積もるようにと母国語で指示されました。研究チームは、「時間を長さとしてとらえるスウェーデン語ネイティブの被験者は、目に見える光景と母国語での時間の表現が重なるので、経過時間を見積もるのが難しいのではないか」と予想しましたが、実際にその通りでした。

一方、時間を量としてとらえるスペイン語ネイティブの被験者は、線がどれほど速く伸びようと経過したのは3秒だとわかりました。

スウェーデン語ネイティブのグループは最終的に「線が長くなるとより長い時間が経過した」と考える傾向にありました。当然ですが、これには限界があります。3秒間でいくら線が長く伸びてもスウェーデン人だからといって何年も経過したとは考えません。しかし、「線がある程度の長さの場合には、経過時間を見積もるのに苦労した」とBylun氏は概説しています。

「スウェーデン語を話す被験者は線の長さが長くなるほど長い時間がかかっていると考えます。スペイン語を話す被験者がそんなふうに騙されることはありません。線の長さがいくら長くなろうと問題にしていないようで、線が伸びるのに要した時間は同じです。」

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